応用マテリアル工学コース

Introduction

空想していた夢の新素材が、現実になる日へ。

単なる物質を、機能を持った「材料」に変える。そこには、研究者としての夢がある。
現代社会に求められるマテリアルを生み出して、人類のより良い未来に貢献しよう。

現代社会に求められる「材料」を発展させる学問。

ナノテクノロジーおよび環境・エネルギー分野を支える「材料」と、その製造プロセスの進展への寄与を目指すコースです。 金属、セラミックス、高分子などの材料工業は、わが国の基幹産業の一つ。 近年の材料工学分野のめざましい発展は、基礎技術の十分な蓄積と優秀な人材の活躍による結果です。

人類の今と未来に対して、責務を持つ基幹技術。

資源およびエネルギー源の少ない日本には、現存の生産システムの高効率化をはかるとともに、新原理の探求とその実現を通して世界に貢献することが求められています。 これらすべての分野を支えているのは各種材料そのものであり、そのために独創的技術と先進的技術を開発できる研究者・技術者を養成します。

カリキュラムの特徴

材料科学と工学全般について、広い理解力と応用力を習得。

本コースでは、化学と物理を基礎学問として、基礎から応用まで幅広く学習し、環境、エネルギー、ニューテクノロジーの3つに大別される領域での材料開発、材料創成を目指す研究者・技術者を養成します。 そのために、熱力学、材料創成プロセス、物性、組織、強度、加工などの基礎学問を習得し、卒業研究を通じて先進材料工学を学びます。 専門必修科目では、履修科目の演習を組み合わせることにより、講義内容を効率良く復習するとともに、専門科目の理解をより深めさせて、教育効率を上げる工夫を行っています。 学部共通科目、学科共通科目を履修することにより、材料科学と関連専門領域、工学全般についての広い理解力と応用力を習得することができます。

コース カリキュラム

1年次 (総合教育部)

【全学教育科目】
●教養科目(文学、芸術、歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学、物理、化学、生物) ●情報学 など

2年次

【学科共通科目・コース専門科目】
●物質変換工学 ●材料デザイン工学 ●応用数学Ⅰ・Ⅱ ●技術者倫理と安全 ●材料量子力学 ●材料物理学 ●材料熱力学 ●相平衡論 ●弾塑性学 ●マテリアルプロセス工学 ●強度物性学 ●創造工学 ●表界面物理化学 など

3年次

【コース専門科目】
●材化製造プロセス工学 ●材料組織学 ●相変態論 ●材料物性学 ●材料工学実験Ⅰ・Ⅱ ●半導体材料学 ●材料機能学 ●コンピュータ演習 ●セラミック材料学 ●多元系材料学 ●金属材料学 など

4年次

【コース専門科目】
●卒業論文 ●プレゼンテーション ●科学英語演習 など

大学院工学院 材料科学専攻

【修士課程・博士後期課程】
●ナノ材料応用特論 ●環境材料学特論 ●高温腐食防食学特論 ●ノーベルプロセシング工学特論 ●計算材料科学特論 ●エネルギー構造材料工学特論 ●強度設計学特論 ●光熱エネルギー変換材料特論 ●材料科学特別演習(修士課程) ●材料科学特別研究(博士後期課程) など

学部生の声

金属材料の魅力と学びの道

本コースでは主に金属材料について学びます。 金属材料という言葉を聞いても具体的にどのようなものかイメージが湧きにくいかもしれませんが、実は電気、機械、建築、医療など多くの分野で欠かせない役割を果たしています。 私は高専時代から材料を専攻していましたが、最初は特に興味があったわけではありません。 しかし学んでいくうちにさまざまな場面で金属材料が必要とされていることに魅力を感じ、さらに学びを深めたくなり編入学しました。 進路が未定の方や社会貢献を目指す方には特におすすめのコースです。

丸川 紗矢
応用理工系学科 応用マテリアル工学コース 4年 (仙台高等専門学校 マテリアル環境コース出身)

大学院生の声

あなたは50年後、どんなモノがほしいですか?

今あなたが読んでいるパンフレットも、マテリアル(=材料)からできています。本コースでは、日用品から飛行機、宇宙ステーションにまで使われている金属材料を中心に学びます。 物理や化学、数学などの知識を融合し、モノに新しい価値を付加するだけでなく、自分自身も幅広い分野の知識を取得できます。 普段何気なく見ていたモノへの視点も変わるため、日常生活がもっと面白くなりますよ。 ぜひ私たちと一緒に何十年も先の未来を想像し、最先端のモノづくりを行いましょう。

佐藤 衣吹
大学院工学院 材料科学専攻 博士課程1年 (清心女子高等学校出身)

卒業生からのメッセージ

“材料”を突き詰める

複数の金属元素による合金の奥深さに惹かれ、応用マテリアル工学コースに進み、大学院修了後はDOWAホールディングス株式会社(配属先:DOWAメタルテック)に入社しました。 材料工学は、合金組成と製造プロセスの組合せでナノ・ミクロ組織を制御して狙いの性能を発現する学問です。 現在私は、パソコンやスマホ内搭載の電子デバイス同士をつなぐ端子・コネクタ用の高強度銅合金の開発・事業化に取り組んでいます。 合金の組成と溶解・鋳造・加工・熱処理プロセスの創意工夫により、要求特性を満たす組織制御の実現に尽力していますが、既存合金を上回る特性の合金を開発できた時は達成感とやりがいを感じることができます。 材料工学の歴史は古いですが、材料は無限の可能性を秘めています。 まさに材料工学は「温故知新」の学問と言えます。 本コースに進んで、「温故」に学び「知新」の1ページを加えてみませんか。


材料組織を評価する分析装置(FE-SEM/EBSD)の前で
橋本 拓也さん
DOWAメタルテック株式会社 金属加工事業部
磐田技術センター
2019年3月 工学部 応用理工系学科 応用マテリアル工学コース卒業
2021年3月 大学院工学院 材料科学専攻 修士課程修了

こんな人におすすめ

石でも切れる硬質材料、真っ赤に焼いても強さを失わない耐熱材料、酸性環境でも錆びない耐食材料、電気抵抗のない超伝導材料…。 いろいろな材料の構造や性能の不思議に興味のある人、それらの材料をもっと高性能なものに変えてみたい人、今までにないような性能の新しい材料を発明してみたい人…。 そんな人におすすめします。

研究室

進路・資格

卒業後の進路

卒業生の職場は、日産1万トンに及ぶ大規模な溶鉱炉から金属、セラミックスなどの原子配列の乱れを電子顕微鏡で探る研究まで広きにわたり、鉄鋼・非鉄金属製造、自動車関係、重工業、電気電子産業の科学技術者、機械・航空機産業の技術者、金属製造業の経営者など幅広い分野の第一線で活躍しています。

取得可能な資格

■中学校教諭一種免許状(理科)
■高等学校教諭一種免許状(理科・工業)

※資格の取得には指定科目の修得が必要です。

産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は、2025年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。

主な就職先

●AGC ●SCSK北海道 ●荏原製作所 ●ENEOS ●大阪ガス ●関西電力 ●神戸製鋼所 ●三和テッキ ●シグマクシス ●Japan Advanced Semiconductor Manufacturing ●JX金属 ●JFEエンジニアリング ●JFEスチール ●JFEテクノリサーチ ●住友金属鉱山 ●住友電気工業 ●大同特殊鋼 ●東京ガス ●東芝エネルギーシステムズ ●TOTO ●東邦チタニウム ●DOWAホールディングス ●豊田中央研究所 ●日本アイ・ビー・エム ●日本製鉄 ●東日本旅客鉄道 ●古河電気工業 ●マツダ ●丸紅 ●三井金属鉱業 ●安川電機 ●UACJ ●LIXIL

(50音順)

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(「北海道大学工学部のすべて 2025-2026」より抜粋)