(「北海道大学工学部のすべて 2021-2022」より抜粋)
Introduction
限りある資源を,限りなく活用するために。
理論上,完全な循環社会は実現不可能だが,循環「型」社会をつくることはできる。
資源を採掘し,有効利用し,安全に廃棄する。
資源循環を実現する技術者・研究者になろう。
社会の中の資源の流れを,あらゆる角度から研究。
私たちが地球環境との調和を保ちながら豊かで住みよい生活を営み,生産活動や社会活動を行うためには,循環型社会の形成が不可欠です。 本コースでは,幅広い工学基礎教育をベースに,社会の中の資源の流れをさまざまな角度から教育し, 循環型社会で求められる創造性豊かな自立した技術者・研究者を育成します。
グローバルな視点から,資源の有効利用を図る。
教育・研究の対象は広く,天然資源の開発・利用,廃棄物の資源化・リサイクルや地層処分,汚染環境の修復などに取り組んでいます。 近未来の資源・エネルギー問題に対処する「資源」,循環型社会を構築する「環境」,未利用で広大な地下空間の活用を目指す「地殻」という三つの柱を設けています。
カリキュラムの特徴
少人数による実験・演習とインターンシップを重視。
少人数による実験・演習と国内外におけるインターンシップを重視した教育が,このコースの特色です。 地球科学,物理化学,弾性体の力学,流体力学,熱力学などの専門基礎科目から,応用地質学,計測工学,粉体工学,岩盤工学,資源循環工学, 地殻システム工学,地下水工学などの専門色の強い科目までを体系的に履修します。 これらの科目には工学のさまざまな学問領域が網羅されており,幅広い基礎工学の知識も習得できます。
コース カリキュラム
1年次 (総合教育部)
- 【全学教育科目】
- ●教養科目(文学,芸術,歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学,物理,化学,生物) ●情報学 など
2年次
- 【学科共通科目・コース専門科目】
- ●応用数学I・II ●応用数学演習I ●構造力学I ●応用地質学 ●基礎図形科学 ●土の力学I ●弾性体の力学 ●地球科学 ●熱力学 ●熱力学演習 ●物理化学 ●計測工学 ●資源循環システム実験I ●資源循環システムI ●資源循環デザイン など
3年次
- 【コース専門科目】
- ●岩盤工学 ●粉体工学 ●流体力学 ●流体力学演習 ●地下水工学 ●地殻システム工学 ●物理化学演習 ●環境化学 ●数値計算法 ●資源循環システム実験II・III ●資源化学II ●土の力学II ●火薬及び爆破工学 ●環境物理 ●微生物工学 ●インターンシップ など
4年次
- 【コース専門科目】
- ●卒業研究 など
大学院工学院
環境循環システム専攻
- 【修士課程・博士後期課程】
- ●資源生産システム特論 ●選鉱・リサイクル工学特論 ●資源生物工学特論 ●環境地質学特論 ●環境プロセス鉱物学特論 ●岩盤工学特論 ●資源サステナビリティ特論 ●地下水保全工学特論 ●地圏計測工学特論 ●連続体・不連続体力学特論 ●環境循環システム特別演習(修士課程) ●環境循環システム特別研究(博士後期課程)
共同資源工学専攻
- 【修士課程・博士後期課程】
- ●資源マネージメントI ●国際人材交流セミナー ●国際フィールド調査 ●鉱床学 ●地球・宇宙探査工学 ●地球熱学概論 ●流体資源採掘法 ●採鉱計画特論 ●地球環境修復工学 ●流体資源貯留層工学 ●物理探査工学 ●石油工学特論 など
学生の声
資源を利用してきた責任を未来のために担っていく
私達の生活は石油などのエネルギー資源や銅,鉄,アルミニウムなどの鉱物資源によって支えられています。 しかし,こうした資源は有限であり,いつかは底をつくかもしれません。 だからこそ私達は,どうすれば地球環境と調和を保ちつつ,今ある資源を最大限利用できるのか,真剣に考えなければなりません。 これは上記の資源を使用してきた私達の未来のために背負うべき責任だと思います。 私はこの責任を全うする方法を学ぶためにこのコースに入りました。 このコースは学問を満足するまで追求できる素晴らしいコースです。

環境社会工学科 資源循環システムコース4年 (北海道帯広柏葉高等学校出身)
大学院生の声
『自然に学ぶ』次世代エネルギー の創成を目指して
水素は燃焼時にCO2を発生させないため,地球環境に優しい次世代エネルギーとして注目されています。 しかしながら,現在工業的に製造される水素の大半は化石燃料を原料としており,その生産時にCO2などの環境負荷ガスを排出しています。 一方天然では,かんらん岩という岩石と水が反応して水素が生成されることが知られています。 かんらん岩は北海道にも産するため,この反応を応用し,地産地消の環境に優しいエネルギー資源として有効活用することを考えています。

大学院工学院 環境循環システム専攻 修士課程1年(北海道北海高等学校出身)
卒業生からのメッセージ
未来が求めるエネルギーを私たちの手で
昭和シェル石油株式会社(現:出光興産株式会社)に入社し,3年間,山口県の石油精製会社に出向して技術者として働いています。 入社後,装置の運転管理,生産計画立案,工事の設計,品質管理など幅広い業務に携わってきました。 資源循環システムコースで,数学・物理学・化学・地学などの基礎分野を体系的に学んできたことが,多岐にわたる業務への導入をスムーズにしてくれていると感じています。 また,在学中にインターンシップや,留学生とのコミュニケーションを通して,世界について知る機会を与えてもらいました。 実際,インターンシップでドイツの炭鉱を見たことが,スケールが大きく世界とつながりのある現在の会社への入社の決め手になっています。 現在,石油産業は脱炭素化や業界再編といった大きな転換期を迎えています。 それを悲観的に捉えるのではなく,私自身は,大きなうねりの中で,見たことのない世界に出会うことができる環境だと思いわくわくしています。 皆さんも,北大工学部で新たな世界に出会いませんか?

社内技術発表会の様子
出光興産株式会社 西部石油株式会社出向
2018年3月 大学院工学院 環境循環システム専攻 修士課程 修了
こんな人におすすめ
何より,環境と調和した資源の有効利用に携わりたい人を求めています。 資源循環システムは,地球(自学などの基礎科目を幅広く習得していることが望まれます。 研究や実践のフィールドは,地球的規模にわたっているため,国際的な視野からものを見ることができる人や, チャレンジ精神が旺盛な人を特に歓迎しています。 スケールの大きな仕事をしたい人,グローバルに活躍できる技術者・研究者を目指す人には最適のコースです。

研究室
- 資源マネージメント研究室
- 国際資源環境システム研究室
- 環境地質学研究室
- 資源循環材料学研究室
- 資源再生工学研究室
- 地圏物質移動学研究室
- 岩盤力学研究室
- 資源生物工学研究室
進路・資格
卒業後の進路
幅広い専門性とバイタリティーが歓迎され,あらゆる業種の企業から多数の求人があります。 最近の主な就職分野は,官公庁,公的研究機関,資源・エネルギー産業,環境・化学関連産業,セラミックス,金属・セメントなどの素材・材料メーカー, 自動車・建設機械などの機械メーカー,ゼネコンや地質・計測コンサルタントなどの土木建設業,情報関連産業など極めて多彩です。 また多くの卒業生が海外で活躍しています。
取得可能な資格
■高等学校教諭一種免許状(理科・工業)
■甲種消防設備士(受験資格)
■火薬類取扱保安責任者(試験科目一部免除)
■建設機械施工管理技士(受験資格)
■土木施工管理技士(受験資格)
■建築施工管理技士(受験資格)
■電気工事施工管理技士(受験資格)
■管工事施工管理技士(受験資格)
■造園施工管理技士(受験資格)
※資格の取得には指定科目の修得や,卒業後に実務経験が必要なものもあります。
産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は,2021年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。
主な就職先
●安藤・間 ●出光興産 ●NTT東日本 ●ENEOS ●オルガノ ●原子力発電環境整備機構 ●神戸製鋼所 ●国土交通省 ●国土防災技術 ●小松製作所 ●札幌市役所 ●JFEエンジニアリング ●清水建設 ●住友金属鉱山 ●住友商事 ●双日 ●東京大学 ●戸田建設 ●日揮 ●日揮グローバル ●日揮ホールディングス ●日本原子力研究開発機構 ●日本工営 ●日本政策金融公庫 ●古河機械金属 ●丸紅 ●みずほファイナンシャルグループ ●三菱商事 ●三菱UFJ銀行
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