生体情報コース

Introduction

生命の神秘に、工学的なアプローチで挑む。

生命科学と情報科学を融合させた新時代のサイエンス、それが生体情報だ。
生命の神秘を工学で解き明かし、バイオインフォマティクスや生体医工学に応用しよう。

生命・人間を中心とする、新たな科学技術の時代へ。

21世紀に入り、ヒトを始めとするさまざまな生物に関する理解が急速に深まっています。 その結果、人類が持続的に健康で豊かな生活を送るための生命・人間を中心とする新たな科学技術の創成と発展・応用が可能となってきています。

学際領域の基礎を、遺伝子から個体まで体系的に学習。

発展の目覚ましいコンピュータ技術、ナノテクノロジー、生命科学の融合科学技術領域は、生命、特に人間を中心とする新領域として飛躍的発展が期待されています。 本コースは、このような社会的要請に応えるため、情報エレクトロニクスの先端技術を駆使し、生命・人間・医療にかかわる科学技術産業の発展に中心的役割を担うことができる創造性豊かな人材の育成を目指します。

カリキュラムの特徴

生命・人間・医療にかかわるテクノロジーを発展させる。

本コースでは、生命科学と情報科学の学際領域の基礎を遺伝子から個体レベルまで体系的に学習します。 まず基盤となる知識を体系的に修得するため、分子生物学Ⅰ・Ⅱや細胞生物学などの生物系基礎科目、および情報エレクトロニクス基礎科目群を履修します。 その後、生体機能学、神経工学、シミュレーション工学、データ解析、応用光学Ⅰ・Ⅱ、応用物性工学などの比較的高度な専門科目を学べるよう、カリキュラムを構成しています。

コース カリキュラム

1年次 (総合教育部)

【全学教育科目】
●教養科目(文学、芸術、歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学、物理、化学、生物) ●情報学 など

2年次

【学科共通科目・コース専門科目】
●分子生物学Ⅰ・Ⅱ ●細胞生物学 ●応用数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ ●計算機プログラミングⅠ・Ⅱ ●コンピュータ工学 ●電子デバイス工学 ●電磁気学 ●電気回路 ●情報数学 ●情報理論 ●信号処理 ●線形システム論 ●電子回路 ●ディジタル回路 ●生体医工学基礎 など

3年次

【コース専門科目】
●生体機能学 ●生命情報解析学 ●神経工学 ●生体物理工学 ●応用電気回路 ●科学計測 ●シミュレーション工学 ●データ解析 ●応用光学Ⅰ・Ⅱ ●応用物性工学 ●量子力学 など

4年次

【コース専門科目】
●卒業論文 など

大学院情報科学院 情報科学専攻 生体情報工学コース

【修士課程・博士後期課程】
●ゲノム情報学特論 ●情報生物学特論 ●先端医工学特論 ●医用システム工学特論 ●細胞生物工学特論 ●神経制御工学特論 ●脳神経科学特論 ●バイオイメージング特論 ●ナノマテリアル特論 ●ナノフォトニクス特論 ●生体情報工学特別演習(修士課程) ●生体情報工学特別研究(博士後期課程) など

学部生の声

医療×AI×バイオ
生体情報学で切り拓く未来

生体情報学コースでは、生命科学だけでなく、エンジニアリングやAIなど、最先端の分野を幅広く学ぶことができます。 医療データ解析やバイオセンサーの開発、AIを活用した診断技術など、多彩なテーマに触れながら、自分の興味を深めることが可能です。 進路も医療、IT、製薬、研究開発など多岐にわたり、まだ進路が決まっていない人でも、ここで学ぶことで将来の選択肢を広げることができます。 最前線の技術と知識を学び、未来を切り拓きましょう!

長谷川 武郎
情報エレクトロニクス学科 生体情報コース4年 (東京都立日比谷高等学校出身)

大学院生の声

生物と工学を繋いだ学びで可能性を広げる

生体情報コースでは生物学と工学の横断的なカリキュラムが組まれているので、興味ある分野がより明確になりました。 私はもともと医療分野に興味がありましたが、情報技術への関心も高かったため、この専攻は非常に刺激的で楽しいです。 現在はデータ分析を活用した、がん細胞研究に取り組んでいます。 こうしたバイオインフォマティクス研究は急速に進歩する分野だからこそ大学院で学ぶ意義があると感じており、同じような挑戦をしたい方に最適な環境だと思います。

杉原 美咲
大学院情報科学院 情報科学専攻 生体情報工学コース修士課程2年 (帝塚山高等学校出身)

卒業生からのメッセージ

仕事にも活きている幅広い領域の学び

私は卒業後、帝人株式会社に入社しました。 現在は帝人グループ内で医薬品・医療機器の研究開発や製造を担う帝人ファーマ株式会社にて、新規医療機器(治療器)の研究に従事しています。 医療機器の研究においては、まず「Aという治療法でBという疾患を治療できないか」といった治療仮説を立て、細胞試験や動物試験で仮説検証を行います。 試験に必要なプロトタイプ機の開発も行うので、生物や化学、電気電子、機械、情報科学といったさまざまなバックグラウンドの研究員が1つのプロジェクトに関わります。 生体情報コース、生命人間情報科学専攻ではこういった幅広い領域の学問を一通り学ぶことができたので、その知識は日々仕事をするうえで非常に役立っています。 医療機器の研究開発においては、工学系と医学系のコミュニケーションがしばしば壁となるので、両者の知識を持つ人材は業界的にも強く求められていると感じます。 またこの広範囲のバックグラウンドは就職活動の際にもさまざまな選択肢を取れるという点でも役立ちました。 医療貢献にぼんやりとでも興味がある方、是非生体情報コースで学んでみませんか? 本コースでは医療へのさまざまな携わり方が用意されているので、きっと自分が本当に興味を持てることに出会えると思います。


社内細胞実験室にて
常世 晶さん
帝人ファーマ株式会社 研究開発技術本部
在宅医療企画技術部門 医療技術研究所
2016年3月 工学部 情報エレクトロニクス学科 生体情報コース 卒業
2018年3月 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻 修士課程 修了

こんな人におすすめ

生き物とコンピュータが好きで、両方の学問分野を総合的に学びたいと考えている人や、医療分野に貢献したいと考えている人、生命の謎を解明したいと考えている人、将来、生命・人間・医療にかかわる工業技術の発展と新産業の創成・推進に中心的役割を果たせるような人材になりたいと考えている人におすすめです。 本コースでは、エレクトロニクス、生物学、機械工学、物理、化学などのさまざまな知識の融合による新領域研究を積極的に推進しています。 新しいことに挑戦したい人、好奇心旺盛な人を歓迎します。

研究室

進路・資格

卒業後の進路

電機、情報通信、精密機器、ソフトウェア、重工業、自動車、化学工業、医療関係の企業などに就職する者が多数ですが、大学、国公立の研究機関などで第一線の研究者として活躍している者も多くいます。 その他、マスコミ、運輸、電力、製薬メーカーなど、多岐にわたる業種に就職実績があります。 特にバイオインフォマティクス、生体医工学などの分野を修めた人材が求められている、医療機器、バイオ産業、食品、製薬企業まで進路の選択肢が広がっていることは、本コースの大きな特色として挙げられます。

取得可能な資格

■高等学校教諭一種免許状(数学・理科・情報)

※資格の取得には指定科目の修得が必要です。

産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は、2025年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。

主な就職先

●アクセンチュア ●ウエスタンデジタルテクノロジーズ ●NTTデータ ●NTTドコモ ●sizebook ●サントリーホールディングス ●島津製作所 ●セプテーニ・ホールディングス ●ソフトバンク ●大地みらい信用金庫 ●デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー ●トヨタシステムズ ●日本アイ・ビー・エム ●日本電気 ●日本電気通信システム ●日鉄ソリューションズ ●野村證券 ●野村総合研究所 ●日立製作所 ●PwCコンサルティング ●富士フイルム ●三井物産

(50音順)

キーワード

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(「北海道大学工学部のすべて 2025-2026」より抜粋)