
Introduction
この国のかたちは、工学者の志でつくられる。
人々の安全な生活を維持するためには、工学的な見地からの社会基盤政策が重要だ。
国土政策の新たな道を拓く技術者・研究者となって、未来の課題を解決しよう。
高度な技術をもとに、社会基盤政策を整備する。
人類の生活・活動領域の膨張と拡大は深刻な環境問題を起こしています。 人々の安全な生活を将来にわたって確保するためには、広域的かつ包括的で高度な技術に裏打ちされた社会基盤政策の立案と執行が不可欠となっています。 本コースでは、社会基盤施設をつくる技術者・研究者を育てます。
社会基盤を設計・評価し、社会問題の解決に役立てる。
まずは土木工学を基礎として、国土政策、都市デザイン、計画システムの基礎を学びます。 次に、自然環境と社会環境の両者に基づいた空間的な配置やネットワーク計画などについて学びます。 社会基盤施設を計画・建設するための政策を立案・評価し、それを執行する能力を身に付けることを目指します。
カリキュラムの特徴
社会基盤施設を計画・建設する技術者・研究者を育成する。
本コースのカリキュラムは、「土木工学の基礎」と「国土政策の計画とデザイン」に関する科目から成り立っています。 人口減少、少子高齢化、過疎化など将来予期される社会問題に加え、情報技術の導入によって変化する社会を評価し、未来のサステイナブルな地域、都市を支える社会を実現するため、都市地域計画、施策の立案、合意形成、サステイナブル・インフラ技術、維持管理技術開発など、未来社会を提案し、その形成を実践していくための教育を行います。
コース カリキュラム
1年次 (総合教育部)
- 【全学教育科目】
- ●教養科目(文学、芸術、歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学、物理、化学、生物) ●情報学 など
2年次
- 【学科共通科目・コース専門科目】
- ●応用数学Ⅰ・Ⅱ ●構造力学Ⅰ・Ⅱ ●水理学Ⅰ・Ⅱ ●土質力学Ⅰ・Ⅱ ●土木計画学 ●社会資本計画学 ●建設材料 ●コンピューティング演習 ●数値計算法演習 ●コンストラクションマネジメント ●技術者倫理学 ●Academic communicationⅠ・Ⅱ など
3年次
- 【コース専門科目】
- ●パブリックデザイン論 ●土木計画学演習 ●都市経済学 ●社会資本計画学演習 ●測量学 ●環境フィールド学実習 ●橋梁工学 ●構造設計論 ●構造・コンクリート工学実験 ●土と水の環境工学 ●道路交通工学 ●Academic communication Ⅲ など
4年次
- 【コース専門科目】
- ●卒業論文 など
大学院工学院
環境フィールド工学専攻
- 【修士課程・博士後期課程】
- ●環境流体力学特論 ●水資源管理工学特論 ●地盤物性学特論 ●沿岸波動力学特論 ●土砂輸送特論 ●環境コンクリート工学特論 ●サステナブルデベロップメント工学特論 ●地盤動力学特論 ●地盤防災特論 ●海洋波動力学特論 ●環境フィールド工学特別演習(修士課程) ●環境フィールド工学特別研究(博士後期課程) など
北方圏環境政策工学専攻
- 【修士課程・博士後期課程】
- ●地域交通政策特論 ●振動解析特論 ●弾性波動解析特論 ●建設マネジメント特論 ●計画数理学特論 ●データ駆動型インフラ維持管理特論 ●コンクリート構造工学特論 ●応用多次元信号処理特論 ●交通計画特論 ●北方圏環境政策工学特別演習(修士課程) ●北方圏環境政策工学特別研究(博士後期課程) など
学部生の声
人々の生活の礎に
私たちの生活の中に土木はあふれています。 多くの人にとって、インフラは当然のように存在し、ありがたみを感じることは少ないでしょう。 しかし昨今の災害や事故を受け、その更新を求められています。 我々学生の使命は次世代のインフラ整備に貢献し持続可能な社会を創造していくことです。 そのためにこの学科では物理、都市計画、倫理学といった幅広い分野を学びます。 ここでの学びを活かし、社会の礎を成せたらと考えています。

環境社会工学科 国土政策学コース3年 (埼玉県立川越高等学校出身)
大学院生の声
人と技術をつなぐものづくり
ものづくりが好き。 でも、人の行動や心理にも興味がある。 そんな思いから、土木工学の道を選びました。 道路や交通システムは、人が使うことで初めて機能します。 私はVRを活用した運転シミュレーターを用い、ドライバーの視線や判断のプロセスを解析する研究を行っています。 人の認知メカニズムや安全な運転を支える技術を探り、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)の開発に取り組んでいます。 技術と人の関係を考え、より安全で快適な交通社会の実現を目指します。

大学院工学院 北方圏環境政策工学専攻 博士課程2年(吉祥女子高等学校出身)
卒業生からのメッセージ
北大での経験を財産に
工学部を卒業後、大成建設に入社しました。 入社後2年間は京都府にある作業所で勤務し、その後東京支店に異動して、工事受注のための業務に3年間携わりました。 6年目となる昨年から設計関連の部署に配属となり、仮設構造物の設計を行っています。 施工管理・受注支援・設計と数年ごとに業務内容が変わるので、異動の度に新たな課題が発生しますが、大学で学んだ知識や今までに得た経験を糧に、日々働いています。 土木の仕事は、一つの業務に携わる人の数が本当に多いですが、難易度が高く誰も答えを持っていない課題に直面することも多いです。 大変な時もありますが、私は工学部で出会った友人や先生方の明るく前向きな姿勢を思い出し、困難な時こそ彼らの姿勢を見習おうと心がけ、そのおかげかこれまで多くの協力を得ながら仕事を進めることができました。 北大にはステキな人がたくさんいて、さまざまな経験を得るチャンスが多くあります。 北大での思い出が、皆さんにとっても貴重な財産になればと思います。

大成建設東京支店にて
大成建設株式会社 東京支店土木部技術部技術室
想いを形にする土木
北海道新幹線札幌延伸に向けて工事の進む札幌駅、JR北海道の工事計画担当としてこのプロジェクトに携わっています。 プロジェクトを進める際には、利用者の利便性、輻輳する工事工程の最適化、創意工夫による工事費の縮減、関係者間の合意形成、完成後のメンテナンスと、考えることは多岐にわたります。 私が土木を志したのは、学生時代の旅で感じた「駅を中心とした街づくり」に興味を抱いたためです。今、その機会に恵まれ、やりがいを持って業務に取り組んでいます。 研究室では、物事の理解を得るためには適切な課題設定と、ロジック、解決策の提示が必要であることを学びました。 またそこには熱意と人との関わりが欠かせないことも重要な学びであり、この経験が今の業務に生きています。 北大にはバイタリティーに富んだ多様な人が集まっており、現在もそのつながりによって日々刺激をもらっています。 人々の生活を支える土木の仕事、技術はこれからの時代も社会から必要とされるものです。 皆さんも北大で興味のある事に挑戦し未来を切り拓いてください。

札幌駅にて
北海道旅客鉄道株式会社
鉄道事業本部 新幹線工事部
大学院 工学研究科 都市環境工学専攻 修士課程 修了
こんな人におすすめ
国家公務員、地方公務員、NPO、NGO、シンクタンク、コンサルタントや民間企業の立場から国土および地域計画に携わってみたい人、社会基盤を設計・評価し、それを社会問題の解決に役立てるような仕組みを手掛けてみたい人を支援し育てます。 自分で問題を探して解決策を考え、それを社会で役立てようとする人、他人から与えられるものをやるのではなく、自分から能動的に物事に対処し、活躍したい人を求めています。 このような人になるためには、深くて広い専門的な知識が必要となりますが、それを吸収できるような粘り強い性格の人におすすめです。

研究室
進路・資格
卒業後の進路
国家公務員・地方公務員・シンクタンク・コンサルタントなどにおける政策立案者、JR・電力・高速道路会社・建設業などにおける専門技術者、大学や研究所などでの教育・研究者、デベロッパーや国際協力機構などにおけるプロジェクト担当者など幅広い分野で活躍しています。
取得可能な資格
■高等学校教諭一種免許状(理科・工業)
■測量士・測量士補
■甲種消防設備士(受験資格)
■火薬類取扱保安責任者(試験科目一部免除)
■コンクリート技士(受験資格)
■コンクリート主任技士(受験資格)
■コンクリート診断士(受験資格)
■建設機械施工管理技士(受験資格)
■土木施工管理技士(受験資格)
■建築施工管理技士(受験資格)
■電気工事施工管理技士(受験資格)
■管工事施工管理技士(受験資格)
■造園施工管理技士(受験資格)
※資格の取得には指定科目の修得や、卒業後に実務経験が必要なものもあります。
産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は、2025年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。
主な就職先
●国土交通省 ●北海道 ●秋田県 ●札幌市 ●相模原市 ●大成建設 ●西松建設 ●安藤・間 ●北海道電力 ●東北電力 ●西日本高速道路 ●東海旅客鉄道 ●東日本旅客鉄道 ●東急 ●小田急電鉄 ●中部国際空港 ●東日本電信電話 ●JFEエンジニアリング ●日鉄エンジニアリング ●横川NSエンジニアリング ●国立研究法人土木研究所 ●日本工営 ●野村不動産 ●コスモスイニシア ●三井住友海上火災保険 ●かんぽ生命保険 ●アクセンチュア ●KADOKAWA ●アビームコンサルティング ●インフィニットループ ●デロイトトーマツコンサルティング ●デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー
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キーワード
(「北海道大学工学部のすべて 2025-2026」より抜粋)