国土政策学コース

(「北海道大学工学部のすべて 2023-2024」より抜粋)

Introduction

この国のかたちは,工学者の志でつくられる。

人々の安全な生活を維持するためには,工学的な見地からの社会基盤政策が重要だ。
国土政策の新たな道を拓くプロデューサーとなって,
未来の課題を解決しよう。

高度な技術をもとに,社会基盤政策をプロデュース。

人類の生活・活動領域の膨張と拡大は深刻な環境問題を起こしています。 人々の安全な生活を将来にわたって確保するためには,広域的かつ包括的で高度な技術に裏打ちされた社会基盤政策の立案と執行が不可欠となっています。 本コースでは,社会基盤施設をつくるプロデューサーを育てます。

社会基盤を設計・評価し,社会問題の解決に役立てる。

まずは土木工学を基礎として,国土政策,都市デザイン,計画システムの基礎を学びます。 次に,自然環境と社会環境の両者に基づいた空間的な配置やネットワーク計画などについて学びます。 社会基盤施設を計画・建設するための政策を立案・評価し,それを執行する能力を身に付けることを目指します。

カリキュラムの特徴

社会基盤施設を計画・建設する技術者・研究者を育成する。

本コースのカリキュラムは,「土木工学の基礎」と「国土政策の計画とデザイン」に関する科目から成り立っています。 人口減少,少子高齢化,過疎化など将来予期される社会間題に加え,情報技術の導入によって変化する社会を評価し, 未来のサステイナブルな地域,都市を支える社会を実現するため,都市地域計画,施策の立案,合意形成, サステイナブル・インフラ技術,維持管理技術開発など,未来社会を提案し, その形成を実践していくための教育を行います。

コース カリキュラム

1年次 (総合教育部)

【全学教育科目】
●教養科目(文学,芸術,歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学,物理,化学,生物) ●情報学 など

2年次

【学科共通科目・コース専門科目】
●応用数学I・II ●構造力学I・II ●水理学I・II ●土質力学I・II ●土木計画学 ●社会資本計画学 ●建設材料 ●コンピューティング演習 ●数値計算法演習 ●コンストラクションマネジメント ●技術者倫理学 ●Academic communication I・II など

3年次

【コース専門科目】
●パブリックデザイン論 ●土木計画学演習 ●都市経済学 ●社会資本計画学演習 ●測量学 ●環境フィールド学実習 ●橋梁工学 ●構造設計論 ●構造・コンクリート工学実験 ●土と水の環境工学 ●道路交通工学 ●Academic communication III など

4年次

【コース専門科目】
●卒業論文 など

大学院工学院

環境フィールド工学専攻
【修士課程・博士後期課程】
●応用流体力学特論 ●水資源管理工学特論 ●地盤物性学特論 ●沿岸波動力学特論 ●土砂輸送特論 ●環境コンクリート工学特論 ●サステナブルデベロップメント工学特論 ●地盤動力学特論 ●地盤防災特論 ●環境フィールド工学特別演習(修士課程) ●環境フィールド工学特別研究(博士後期課程) など
北方圏環境政策工学専攻
【修士課程・博士後期課程】
●地域交通政策特論 ●振動解析特論 ●弾性波動解析特論 ●建設マネジメント特論 ●計画数理学特論 ●北方圏環境政策工学特別演習(修士課程) ●北方圏環境政策工学特別研究(博士後期課程) など

学生の声

幅の広い土木,深まる人問力。

私が土木の道に進むと決めたのは,漠然と「何でもできる」と思ったからです。 土木とは,自然現象とそれらが及ぼす人間活動への影響を科学的に解明し,対処法までを確立する実践的な学問です。 先人が遺した知恵と努力を学ぷとともに,社会利益のために人間の心理的な行動パターンや歴史・文化, 都市計画や景観工学など幅広く考えを深められる総合科学でもあります。 私の選択は正解でした。土木を学ぶことができてよかったと心から言えます。

三品 祐太
環境社会工学科 国土政策学コース 4年(北海道室蘭栄高等学校出身)

大学院生の声

建設業界の産業革命・建設用3Dプリンタの開発

私は,小さな頃からものづくりに携わる仕事がしたいと思っていました。 国土政策学コースを志望したのは,完成品が大規模で,不特定多数の人々の生活に密接に関係するということに魅力を感じたからです。 現在は建設用3Dプリンタに関する研究をしています。 近年急速に発展している分野であり,施工の自動化や複雑かつ合理的な形状の実現などが期待されています。 研究を通して,より良いものをより効率的に施工することに貢献したいです。

吉原 伶
大学院工学院 環境フィールド工学専攻 修士課程1年(愛光高等学校出身)

卒業生からのメッセージ

北大で素晴らしい経験を!

大学卒業後,森トラスト株式会社に入社しました。 森トラストは,都市開発やリゾート開発を中心に都市の価値を高め,都市の発展に寄与するビジネスを展開する総合不動産デベロッパーです。 私はその中でも,不動産の資産価値の維持や,今後のオフィスのあり方について考える業務に取り組んでいます。 大学では,社会基盤計画学研究室において,サテライトオフィス導入時の企業の立地選択行動についての研究に取り組み, 半年間の交換留学も経験することができました。 日々の業務では,研究を通じて身に付けた問題解決に向けた考え方はもちろん,土木の知識や留学で得た経験も様々な場面で役立っています。 大学での経験は,価値観や視野の拡大に大きく役立ち,必ず皆さんの助けになることと思います。 北大で様々な経験を積み,思い描く夢の実現に繋げていってください!


鈴木 佳那子さん
森トラスト株式会社 総務部管財グループ
2018年3月 工学部 環境社会工学科 社会基盤学コース 卒業

土木は可能性をつかむチャンス!

地球から遠く離れた深宇宙を探査する「はやぶさ2」等の人工衛星と交信するためには,その信号を送受信するための大型アンテナが必要です。 澄んだ空気を有する長野県の山間部に直径54mのパラボラアンテナを整備する計画が進行中です。 JAXAといえば宇宙に注目が集まりがちですが,アンテナのみならず,ロケット打上げ施設,衛星開発試験装置,打上げ環境試験設備,衛星管制施設等, 宇宙を目指す技術の研究・開発を行う拠点のほとんどは地球上に存在し,全て安定した土木インフラの上に成り立っています。 これはJAXAに限った話ではなく,モノづくりを有するほぼ全ての業種に共通する話であり,その拠点の根幹を支えるのが土木技術者です。 また,将来的な人類の進出先として,月面や火星への拠点開発も期待され,開発に向けて土木技術は必要不可欠です。 あらゆる場面で重要性が再認識されている土木技術を習得し,皆様が広く活躍されることを期待します。


種子島宇宙センターにて
上田 明人さん
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
施設部施設推進課
2013年3月 工学部 環境社会工学科 国土政策学コース 卒業
2015年3月 大学院工学院 北方圏環境政策工学専攻 修士課程 修了

こんな人におすすめ

国家公務員,地方公務員,NPO,NGO,シンクタンク,コンサルタントや民間企業の立場から国土および地域計画に携わってみたい人, 社会基盤を設計・評価し,それを社会問題の解決に役立てるような仕組みを手掛けてみたい人を支援し育てます。 自分で問題を探して解決策を考え,それを社会で役立てようとする人,他人から与えられるものをやるのではなく, 自分から能動的に物事に対処し,活躍したい人を求めています。 このような人になるためには,深くて広い専門的な知識が必要となりますが,それを吸収できるような粘り強い性格の人におすすめです。

研究室

進路・資格

卒業後の進路

国家公務員・地方公務員・シンクタンク・コンサルタントなどにおける政策立案者,JR・電力・高速道路会社・建設業などにおける専門技術者, 大学や研究所などでの教育・研究者,デベロッパーや国際協力機構などにおけるプロジェクト担当者など幅広い分野で活躍しています。

取得可能な資格

■高等学校教諭一種免許状(理科・工業)
■測量士・測量士補
■甲種消防設備士(受験資格)
■火薬類取扱保安責任者(試験科目一部免除)
■コンクリート技士(受験資格)
■コンクリート主任技士(受験資格)
■コンクリート診断士(受験資格)
■建設機械施工管理技士(受験資格)
■土木施工管理技士(受験資格)
■建築施工管理技士(受験資格)
■電気工事施工管理技士(受験資格)
■管工事施工管理技士(受験資格)
■造園施工管理技士(受験資格)

※資格の取得には指定科目の修得や,卒業後に実務経験が必要なものもあります。

産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は,2023年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。

主な就職先

●アイリスオーヤマ ●アイレッブ ●IDOM ●計量計画研究所 ●国土交通省 ●さいたま市役所 ●札幌市役所 ●大気社 ●太平洋セメント ●千葉県庁 ●中部電力 ●長大 ●電源開発 ●電通 ●東京電カホールディングス ●都市再生機構 ●中日本高速道路 ●日本交通計画協会 ●日本政策投資銀行 ●ネクサスエージェント ●東日本電信電話 ●北海道開発局 ●北海道庁 ●北海道旅客鉄道 ●八干代エンジニヤリング ●横河ブリッジホールディングス ●ローソン

(50音順)

キーワード

グリーンエネルギー(インフラ政策・計画,解析・設計)グリーンハイウェイ都市計画アセットマネジメント交通渋滞緩和寒冷環境評価リスク評価国際プロジェクト計画・評価交通事故対策/交通安全政策救急医療ネットワーク(インフラネットワークの計画)ランドスケープデザインヒューマンファクター/ヒューマンエラー交通政策交通計画ITS(高度交通システム)エネルギー輸送人口減少対応インフラ政策・計画景観デザイン歴史的土木遺産の選定と評価エネルギーインフラ通信インフラの計画情報インフラ計画オンライン交通情報交通ナビゲーション寒冷環境構造物(デザイン・解析・設計)