建築都市コース

(「北海道大学工学部のすべて 2023-2024」より抜粋)

Introduction

100年後には,きっと文化財になるだろう。

今は文化遺産となっている歴史的建造物も,当時の最新技術で建てられたものだ。
最先端の建築学を究めた先にあるオリジナリティで,
未来の人々を感動させよう。

建築や都市空間という,社会の資産を創りだす学問。

建築・都市学は,建築空間の創出を中心に,歴史的建築や自然環境をまもりながら,風土的な特質を生かした文化の基礎や社会の資産を創りだす学問領域です。 建築や都市をより安全に,より人にやさしく,より便利で,より快適に,より美しく,かつ価値あるものにしてゆく方法体系といえます。

人間の知性と感性を調和させ,新たな生活空間を創造。

建築・都市学の魅力は,人間のもつ幅広い知性に期待し,これと感性を調和させながら,新たな生活空間を創造するところにあります。 建築・都市学に関する幅広い専門的知識と総合的体系的な識見を持ち,人間性に立脚した生活環境の形成・維持・改良等の分野で活躍し得る, 問題提起・解決能力を持つ人材を育成します。

カリキュラムの特徴

より快適で安全な都市環境を実現するための力を養う。

工学的基礎のみばかりではなく社会科学・人文科学・芸術等にわたる幅広い認識と分析力・創造力・総合力を養うことに重点を置いており, 広く関連諸分野の認識を持てるような教育システムを採用しています。 また,建築・都市学にかかわる基礎知識・能力を育成するため,建築計画・設計,建築環境・設備,建築構造,建築生産の基本領域から,建築史, 都市計画を含む広範な領域にわたり,時代の要請と地域の特性を踏まえた教育を行います。 また,少人数での討論やマンツーマンを重視した各種の演習などを通じて,建築・都市・環境の創出に必要な総合力と創造力を養います。

コース カリキュラム

1年次 (総合教育部)

【全学教育科目】
●教養科目(文学,芸術,歴史等) ●外国語科目 ●基礎科目(数学,物理,化学,生物) ●情報学 など

2年次

【学科共通科目・コース専門科目】
●コンピューティング演習 ●応用数学I ●応用数学演習I ●図形科学 ●構造力学I・II ●建築序説 ●計画・設計演習I ●建築史通論 ●建築計画I ●建築環境論 ●建設材料 など

3年次

【コース専門科目】
●計画・設計演習II・III ●建築計画II ●都市計画 ●各種構造I・II ●コミュニティデザイン ●建築施工 ●建築構造動力学 ●地震工学 など

4年次

【コース専門科目】
●卒業研究 など

大学院工学院

建築都市空間デザイン専攻
【修士課程・博士後期課程】
●都市環境デザイン学特論 ●建築都市史特論 ●建築計画学特論 ●都市防災学特論 ●都市再生計画学特論 ●空間構造デザイン特論 ●住環境計画学特論 ●建築デザイン学特論 ●計画・設計特別演習I・II ●建築都市空間デザイン特別演習(修士課程) ●建築都市空間デザイン特別研究(博士後期課程) など
空間性能システム専攻
【修士課程・博士後期課程】
●建設材料学特論 ●建築環境特論 ●建築生産特論 ●空間設計学特輪 ●木質建築計画特論 ●空間性能システム特別演習(修士課程) ●空間性能システム特別研究(博士後期課程) など

学生の声

これからを創る,に携わる

ものづくりという工学的な学びに加え,まちやひと,その背景にある歴史や展望といった社会・文化学的な学びが,建築都市コースの魅力のひとつです。 普段目にする建築物や街並みの裏にある技術・考えから学び,これからのまちづくりを考察するプロセスには,未来を創る一端に触れている実感があります。 また,考えを図面・模型・言葉等で表現し,仲間や先生との対話を通して自分にはない視点を共有することにも,本コースの面白さがあると思います。

金子 千裕
環境社会工学科 建築都市コース 4年(釧路湖陵高等学校出身)

大学院生の声

「防災×IT」これからの社会に向けた研究

私は災害から人とまちを守りたいという想いがあり都市防災分野に進みました。 過去の災害とそれによる被害を分析することで,次に起こりうる災害を予測し被害を減らすための対策を講じることが防災の基本的な考え方です。 我々の研究室では実際に調査やアンケートを行ってデータを採集し,それを基に地震被害想定や災害シミュレーション等の研究を行っています。 私の研究内容はドローン等を用いて被災状況をメタバース上に再現するというもので,先端的な技術を取り入れた研究ができるのも所属する研究室における魅力の一つです。

冨永 佳吾
大学院工学院 建築都市空間デザイン専攻 修士課程2年(長野県立長野高等学校出身)

卒業生からのメッセージ

大学で学んだことをどう生かすか

大学院卒業後に清水建設株式会社に入社し,原子力を始めとする発電施設の構造設計・解析に携わっています。 最近では再生可能エネルギー関連事業として洋上風力発電設備の地震応答解析も行っており,解析ソフトの使い方や英語に苦心しつつ, 一人前の技術者を目指して日々励んでいます。 現代社会に不可欠な電力エネルギーを建築の技術で支えること,また自分が関わったものが形になり社会へ貢献していることを魅力に感じるとともに, 責任の大きさを感じながら仕事に取り組んでいます。 高度な知識と技術が求められるため勉強の日々ですが,大学で学んだ勉強の仕方が活きていると感じます。 特に周囲と積極的にコミュニケーションを取りながら学ぶ姿勢の重要さを実感しています。 また仕事以外でも,視野を広げるために分野を問わず読書を心がけています。
学業に限らず,学生時代の経験全てが皆さんの未来につながると思います。ぜひ積極的に学んでいただければと思います。


勤務先の社屋にて
松本 将武さん
清水建設株式会社
2016年3月 工学部 環境社会工学科 建築都市コース 卒業
2018年3月 大学院工学院 建築都市空間デザイン専攻 修士課程 修了

こんな人におすすめ

理性的な思考と豊かなイマジネーションで,過去と未来を見通し,世界の文化に目を向けながら, さまざまな人々との協働の中で建築や都市の姿を考えたいという意志がある方には,楽しく意欲的に学ぶことのできるコースです。 本コースでは,主体的な問題意識を持った,磨けば光る個性の持ち主を必要としています。 将来は,建築や都市の計画・設計・構築にかかわるプランニング・デザイン・エンジニアリングのほか,構想や企画のプロデュース, 生産や施工のマネジメントなど幅広く,国内外での活躍が期待されています。

研究室

進路・資格

卒業後の進路

総合建設業・設計事務所等の建築技術者,国家公務員・地方公務員など建築・都市行政の担い手,大学や研究所などの教育・研究職, 設備機器や住宅産業等のメーカー・不動産業等の技術者,設計事務所・開発コンサルタント等の経営者など,幅広い分野で活躍しています。

取得可能な資格

■高等学校教諭一種免許状(理科・工業)
■甲種消防設備士(受験資格)
■一級建築士(受験資格)
■二級建築士(受験資格)
■木造建築士(受験資格)
■建築設備診断技術者(受験資格)
■コンクリート技士(受験資格)
■コンクリート主任技士(受験資格)
■コンクリート診断士(受験資格)
■建設機械施工管理技士(受験資格)
■土木施工管理技士(受験資格)
■建築施工管理技士(受験資格)
■電気工事施工管理技士(受験資格)
■管工事施工管理技士(受験資格)
■造園施工管理技士(受験資格)

※資格の取得には指定科目の修得や,卒業後に実務経験が必要なものもあります。

産業別就職状況

※産業別就職状況・主な就職先は,2023年3月卒業者・大学院修了者を集計したもの。

主な就職先

●NTTファシリティーズ ●オープンハウス・ディベロップメント ●鹿島建設 ●構造計画研究所 ●国際協力機構(JICA) ●ジェイアール西日本コンサルタンツ ●JT ●清水建設 ●新菱冷熱工業 ●住友林業 ●生和コーポレーション ●積水ハウス ●大成建設 ●ダイフク ●大和ハウス工業 ●竹中工務店 ●中部電力 ●都市再生機構 ●日揮ホールディングス ●日建設計 ●日本設計 ●日本マイクロソフト ●パナソニックエコシステムズ ●北海道ガス ●ミサワホーム ●三菱地所 ●三菱電機 ●森トラスト

(50音順)

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