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分析化学-5

水質の指標

①水質汚濁の考え方

時間的、経済的制約があるため、全ての物質は測定できない。また、環境を汚染しないものは測定する必要はない。

この見極めは土木環境工学者として非常に重要なスキルであると、私は思っている。

全ての水質基準は「○○濃度以下」となっている。これは100%除去する必要はないことを示している。除去率100%を目指すことは、良いことなのだろうか?と思考してほしい。

②授業で扱う環境基準

環境基本法
→→→環境基準:人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準
→→→水質(他に、大気、騒音、土壌、ダイオキシン類)
→→→①水質汚濁に係る環境基準について②地下水の水質汚濁に係る環境基準について
→→→①の中に
別表1 人の健康の保護に関する環境基準
別表2 生活環境の保全に関する環境基準
→→→別表2の中に
1 河川(1) 河川(湖沼を除く。)(2) 湖沼
2 海域
②水道法(厚生労働省)厚生労働省HP
→→→①水道水質基準水道水(蛇口から出てくる)が備えなければならない水質上の要件。衛生的安全性の確保(健康に関連する項目)、基礎的・機能的条件の確保(水道水が有すべき性状に関連する項目)
→→→②水質管理目標設定項目:水質管理上留意すべき項目
→→→③要検討項目:毒性評価が定まらない物質や、水道水中での検出実態が明らかでない項目
③水質汚濁防止法(環境省)環境省HP
→→→一律排水基準:公共用水域の水質汚濁を防止するため,水質汚濁防止法に基づき,特定施設を有する工場・事業場の排出水に対して,全国一律の排水基準が定められている。

③水質の指標

①BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)
なぜこんな指標があるのか?
水質汚濁とは①溶存酸素(DO)が低下すること。(生物が死ぬので。) ②生物に直接悪影響を及ぼす物質が存在すること。物質の例:重金属、有機性塩素化合物、内分泌かく乱物質、ダイオキシン、・・・。
逆に考えると、DOを減らす物質(=還元性物質)は水質汚濁物質である、ということになる。
還元性物質:生物易分解性有機物、還元性無機物(アンモニア、亜硝酸、硫化水素)。
しかし、DOを減らす物質は極めて多種多様であり、個々の物質の濃度を個別に測定し総和を求めることは不可能。
そこで、「実際に」どれだけDOが減るかを測定することにする。
上の考え方から、「DOを減らすポテンシャル(能力)が高い水ほど汚れている」といえるので、DO減少量は「水質汚濁」の(間接的)指標となる。
BODとは、生物反応および化学反応により「対象としている水(サンプル)」が消費する(=要求している)DO量(濃度)、である。
測定方法:密閉容器にサンプルを入れ、5日間で減少したDO濃度。(試験初日と5日目のDOの濃度の差。)DOは容器中の微生物反応や化学反応により消費される。消費されたDO量(BOD濃度)が多いほどその水は汚染されている、ことになる。
初日にDOを測定したサンプルは使えなくなるので、測定時には、「初日にDOを測定するサンプル」と、「5日後にDOを測定するサンプルの初日のDO濃度」は、等しくなければならない。
②COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)
サンプル中の還元性物質を強力な酸化剤で酸化し、還元性物質と反応した酸化剤の量を滴定により求める。
すなわち、還元される物質なら何でも(生物が利用できなくても、有機物でも無機物でも)測定されることになる。
しかし、CODの単位はmg-O2/Lなので、反応した酸化剤と等しい電子等量(電子の数。酸化還元反応は電子授受反応なので)に相当する酸素量を計算により求め、この酸素量をCODとする。
1molのKMnO4は5/4molのO2に相当する。
CODの特徴
CODの測定には酸素は使わないので、サンプル中のDO濃度を気にする必要はない。(DOがゼロmg/LのサンプルでもCODは測定できる。)
COD成分には生物難分解性有機物も含まれるため、CODの高い廃水を環境水中に排出しても、DOが低下しない場合もある。もちろん、COD成分には多数の有害物質が含まれるため、COD成分は処理しなければならない。過マンガン酸カリウムは全ての還元性物質と完全に酸化還元反応するわけではない。グルコースや酢酸(特に酢酸)の酸化率が100%ではないのは、酸化剤により完全には酸化されないため。したがって、グルコースや酢酸のCODはこれらのBODよりも低くなる。BODの理論値とCODの理論値はもちろん等しい。
③TOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)
水中の有機物のみを測りたい場合にはTOCを測定する。
TOCは測定対象の水を高温(600℃以上)で熱して水中の有機物質を二酸化炭素に変換し,発生した二酸化炭素量を測定することで多様な高分子で構成される有機物質の総量を表す指標である。ただし,有機物質中の炭素原子の割合は有機物質ごとに異なるため,TOCは必ずしも正確な有機物質濃度を表すわけではない。 単に炭素濃度を表している。
④その他の指標
pH、DO、重金属、有機塩素化合物 、一般細菌、大腸菌、トリハロメタン、窒素化合物
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