工学研究院長・工学院長からのメッセージ

工学研究院長からのメッセージ

大学院工学研究院長
教授 増田 隆夫

 工学研究院の前身である工学研究科は、2004年度の国立大学法人化と同時に情報科学研究科が工学研究科から分離独立して設置されたのに伴い、2005年に改組を行い、15専攻体制となりました。第2期中期目標期間の始まる2010年度には、大学院教育組織を工学院と総合化学院へ移行するのに合わせ、大学院研究組織及び教員の所属組織として工学研究院を設置して現在に至っています。

 工学研究院は、北方圏に位置する北海道にある「工学研究拠点」として、国際的な広い視野のもとで新たな研究を切り拓き、社会と有機的に連携する工学研究を推進しています。2016年から始まった第3期中期目標期間では、自然・人間・社会環境の現状と将来像を踏まえ、社会と環境に責任を持ち、新たな産業と文明を拓き、高度サービス社会を築く「拓く工学」の推進のため、次の活動を行っています。

 まず、「グローバルな頭脳循環拠点を構築して社会課題を解決するためのイノベーションを創出する」ことを目指して、資源開発、農林水産業、航空・宇宙産業等のフィールド科学分野について、外部研究組織と連携しながら部局横断型の研究を推進しています。次に、「優秀な若手研究者を育成する」ために、大学人材育成本部のS-cubicと連携して博士人材インターンシップと就職支援を部局としても推進しています。それに加えて、「産業界側からの理工系学生の博士課程への誘い」として、産業界の協力を得てコロキウムを開催することで博士人材育成に努めています。

 また、「大学の研究成果を活用した地域・社会の活性化」のために、工学研究院の研究シーズを広く産業界へ発信する手段として、研究シーズ集の作成によるシーズの外部への発信を行うとともに、各部門の教員の研究分野や教員同士の結びつきを可視化した「ひとマップ」を作成し、学外の訪問者が容易に該当する分野の研究者を探すことができるよう工学系連携推進企画部ホームページで公開しています。さらには研究内容の理解を深めるため、「研究早わかりムービー」の充実を図っています。

 これら以外にも多くの活動を行っており、工学研究院から創出・発信された先進的研究や技術等が、社会・地域・産業・学術研究に広く還元され、これらの発展に貢献することを目指しています。

 今後も、若手研究者育成に配慮しつつ、工学の多様性を維持しながら、基盤研究から社会実装に向けた応用的な研究まで、広範で均整のとれた研究体制の構築を推進してまいります。

工学院長からのメッセージ

大学院工学院長
教授 小林 幸徳

 工学院は、2010年度の組織改正で、従来の工学研究科が分かれて、工学研究院、工学院として編成されました。工学研究院は教員の所属する組織であり、工学院は大学院生の所属する組織です。工学院では、12専攻に900名を超える大学院生が在籍し、専門教育と研究を行ってきました。2017年4月からは、九州大学大学院工学府との間で「共同資源工学専攻」が新たに設置されます。これに加えて、北海道大学が国際大学院として新設する医理工学院と国際食資源学院の教育にも参画します。大学院教育は、高度の専門教育であるがゆえに、これまでは細分化の傾向にありました。しかし、グローバル化の時代とともに、大学院においても新たな分野横断型の教育が求められていると言えます。

 工学院においては、科学技術の多様化や、異なる領域の融合による新たな学問の創造に柔軟に対応できる研究者及び技術者を育成するために、早くから双峰型教育を実践しています。双峰型教育とは、学生が所属する専攻の専門科目を主専修として履修するだけでなく、他専攻の科目も副専修として履修することにより、複数の視点から物事を観察・分析できる幅広い素養と柔軟な思考力を身に付け、日進月歩で進展する先端工学領域にも対応できる人材を育成する教育システムです。工学院では、双峰型教育制度をより有効なものとするために、大学の世界展開力強化事業による各種プログラムや新渡戸スクールが提供する科目についても、副専修科目として履修登録可能とするなど、学生が主体的に分野横断型の履修計画を立てられます。さらに、「工学院共通科目」においては、科学技術政策や人材育成に関する多彩なメニューを提供しています。

 工学院では、2000年から英語による教育と研究指導を行う英語特別コースプログラム(English Engineering Education(e3)program)が開設され、外国人留学生のみならず日本人の学生も積極的に受け入れています。また、2016年から本格実施となったHokkaidoサマー・インスティテュートでは、海外から各分野の一流の研究者を招へいして「大学院共通授業科目」として講義を開講しています。これらの講義は英語で実施され、海外からも多くの学生が特別聴講学生として履修しました。今年度も多くの科目の開講が予定されていますので、多くの学生が積極的にこれらの科目を加えた履修計画を立てることを推奨します。

 工学教育の最大の使命は、産業界が必要とし、産業界で活躍できる、強いモチベーションと実践能力を有する人材育成にあります。工学系教育研究センター(CEED:Center for Engineering Education Development)は、産学連携プログラムおよび国際性啓発プログラムとして、国内インターンシップ、海外インターンシップ派遣を積極的に支援しています。2016年度は約60名の学生が海外インターンシップを経験し、報告会では後輩たちにも是非チャレンジしてほしいとのメッセージを残しています。インターンシップ先が海外の大学であったとしても、1か月以上の滞在では、海外旅行とは違う多くの経験ができます。そこで身に付く積極性や問題解決力、国際コミュニケーション力は、まさに産業界が求める学生像に合致するものです。2016年度から始まった4学期制を活用することで、数ヶ月の海外インターンシップにも参加しやすい環境が整ってきています。皆さんも指導教員とよく相談の上、積極的にチャレンジしてみてください。

 工学院では、博士後期課程への進学を奨励し、経済的な支援にも取り組んでいます。国内の他大学に先駆けて、学修支援制度を導入し、博士後期課程学生の修学と研究環境の充実を図っています。大学院重点化以前は、修士課程進学率は30%程度でしたが、いまや80%以上の学生が修士課程に進学しています。資源やエネルギーに乏しい我が国では、科学技術の創造・発展を国の基本方針としており、工学の研究者・技術者への期待がますます高まっています。近い将来、博士後期課程までの一貫教育を受けた人材が、日本の産業界をリードすることは疑問の余地がありません。

 北海道大学大学院工学院は、世界を牽引する最高水準の研究・技術への挑戦とそれを可能とする若手研究者・技術者の育成をする、国際競争力のある卓越した教育研究拠点となることを目指します。あくなき探究心と、未踏の領域に挑み開拓しようという有能な皆さんとともに、この目標に向かって力強く進むことを楽しみにしています。そして、工学院に入学した皆さんが、工学院をフルに活用して研鑽されることを、心より期待しています。