令和7年度工学部オープンキャンパスを実施②

令和7年度工学部オープンキャンパスを、令和7年8月3日(日)、8月4日(月)に実施しました。
1日目は小学生から参加できる「自由参加プログラム」、2日目には「高校生限定プログラム」を実施し、模擬講義、工学部探検、工学部進学相談会、研究室体験に延べ約1,600名が参加しました。2日間の様子を2回にわたってお伝えします。
2日目の「高校生限定プログラム」では、各コースが午前、午後の2回ずつ「研究室体験」を実施しました。その一部をご紹介します。
■機械知能工学科 機械システムコース
「牛乳のおいしさを光で測ってみよう」
本講座を担当した藤井宏之 准教授(熱流体物理学研究室)は、光の散乱現象に着目し、生体、農産物、食品などの多様な物性を非破壊的に評価する技術開発を目指して研究しています。
研究室体験に参加した高校生たちは、まず乳脂肪分の異なる3種類の牛乳を試飲し、それぞれの甘み・酸味・濃厚さを評価しました。続いて、糖度酸度計や光散乱法を用いて糖度・酸度・脂肪球の大きさや数を計測。自分たちの味覚による評価と科学的な測定値を比較しました。結果が予想と異なる場面もあり、参加者からは驚きの声が上がっていました。


■環境社会工学科 環境工学コース
「サーモグラフで体感!暑さ・寒さの環境工学」
本講座を担当した若林 斉 准教授が所属する環境人間工学研究室では、快適性と省エネルギーを両立させた空調機器の開発などにつながる環境人間工学の研究を行っています。
研究室体験では、暖かい部屋と涼しい部屋でそれぞれ参加者のサーモグラフを撮影したり、指先の温度を測定したりして、体表面温度の変化を観察しました。それらの結果をもとに、すべての人が快適に過ごせる空調機器のあり方について考えました。


■環境社会工学科 資源循環システムコース
「生物が作る鉱物を見てみよう」
資源生物工学研究室では、微生物が作る鉱物を使って砂や土を固めるバイオセメントの研究を行っています。
研究室体験に参加した7名は、はじめに研究内容について説明を受けた後、鉱物を電子顕微鏡で観察しました。髙野 力 助教は、生物の優れた機能を利用して、資源・環境に関する課題解決に取り組んでいることを、わかりやすく紹介しました。また、中島一紀 教授が研究で使用している様々な装置について解説し、参加者は真剣な表情で耳を傾けていました。


■情報エレクトロニクス学科 電気電子工学コース
「マイクロメートルの金属細線を作って電流を流してみよう。」
本講座を担当したアグス スバギョ 准教授は、微細加工技術を駆使した半導体基板上のナノ構造作製や、原子スケールでの構造・電子状態評価などの研究をしています。
参加した高校生6名は、防護服に着替えて空気中の微粒子が厳密に管理されたクリーンルームに入り、ナノスケールのものづくりや顕微鏡観察の最前線を体験。実演実験では、スバギョ 准教授が直径3ミクロンと5ミクロンの金属細線に電流を流しました。生徒たちは、金属細線が抵抗加熱(ジュール熱)によって温度上昇し、熱による応力で最終的に切れてしまう様子を目の当たりにしました。


兵庫県から参加した高校2年生は、「昨年、観光で北海道に来たときに自然豊かなキャンパスにひかれ、オープンキャンパスに参加しました。楽しい雰囲気で実験できて、工学への興味がより高まりました」と感想を述べました。
今回のオープンキャンパスが、多くの方にとって将来を考えるヒントや原動力となれば幸いです。北大工学部は、これからも次世代を担う若い皆さんとの出会いを大切にしていきます。
【工学研究院・工学院・工学部広報室員 川本 真奈美、SHMAKOVA NATALYA】
◆関連リンク
・令和7年度工学部オープンキャンパスを実施①
https://www.eng.hokudai.ac.jp/news/?file=14747
・北海道大学オープンキャンパス2025
オープンキャンパス2025 – 北海道大学