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【国内初】中速・中型無人自動配送ロボットの準公道での雪上走行試験に成功~北大構内でデモンストレーションを実施~

2025年2月15日(土)北大構内で、北海道大学と京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下KCCS)が、中速・中型無人自動配送ロボットを活用した雪上走行のメディア向けデモンストレーションを行いました。

この自動配送ロボットは、工学研究院 機械・宇宙航空工学部門の江丸貴紀 准教授とKCCSが共同で開発したものです。

KCCSは、無人自動配送ロボットを活用し、必要なモノやサービスを必要とする人の元へ届けることで誰もが安心・快適に住み続けられるまちづくりを支援することを目指しており、2021年より北海道石狩市を中心に無人自動配送ロボットの技術検証を行ってきました。

北海道で走行技術の検証を行うにあたっては積雪や降雪環境下での走行が不可欠となります。また、日本では国土の約1/2が豪雪地帯に指定されており、積雪・降雪環境下における配送員不足などの物流問題が深刻な社会問題となっています。これらの背景から、KCCSと江丸准教授は2022年度より共同開発への取り組みを開始し、2025年2月5日に、ミニカーの規格(長さ2.5m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下)では国内で初めて(※)準公道での雪上走行試験に成功したことを発表しました。

江丸准教授が所属する精密計測学・ロボティクス研究室では、ロボット技術、情報技術、AI(人工知能)をベースに、除雪作業の安全性向上や農作業の自動化など、社会課題の解決に向けた研究をしています。

積雪・降雪環境下における配送ロボット自動運転の実現に向けて、江丸准教授は雪道における自動運転技術の課題解決に取り組んできました。

積雪による地形の変化によってロボットの正確な自己位置推定が不安定となることが、雪道における自動運転の課題のひとつでしたが、ロボット技術を応用することにより、走行できる領域を検出し、目の前の状況を判断して経路を再計画しながら走行することが可能となりました。また、降る雪を間違えて障害物として認識し、ロボットが自動停止してしまう課題に対しては、AIを活用することで降雪ノイズを除去することに成功しました。

最高速度15㎞/h、最大積載重量90kg、車体のデザインはロボットの技術検証を行った石狩市をイメージした絵柄

無人自動配送ロボットは遠隔から監視者がモニタリングし、必要に応じて遠隔操縦します。

2月15日に行った雪上走行デモンストレーションでは、無人自動配送ロボットがメインストリートなど北大構内の準公道を時速10キロ前後で走行しました。また、走行するロボットが歩行者を検知して自動で停止する様子も公開しました。

歩行者の前で自動停止する無人自動配送ロボット

江丸准教授は「配送ロボットの研究を通じて、例えば除雪や農業機械といった他の機械の自動運転にも貢献できるのではないかと考えています。基礎技術として幅広く応用できるようになることを期待しています」と話しました。また、KCCS経営企画室モビリティ事業企画課 辺見航平 副課長は「無人での自動配送を実現させることで人手不足を解決し、人々の生活に寄り添うようなサービスを提供していきたい」と語りました。

共同開発は本年度で終了しますが、KCCSでは自動配送ロボットなどを活用した物流効率化の取り組みについて「今後も事業者と連携していきたい」としています。

(2025年3月27日)

メディア向け説明会の様子
左から、京セラコミュニケーションシステム株式会社 経営企画室 モビリティ事業企画課 水迫浩昭 課長、辺見航平 副課長、北海道大学 大学院工学研究院 江丸貴紀 准教授

(※)KCCS調べ。(2025年2月5日時点)

【文:工学系広報室】

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