卒業生コラム
役場づとめの技術屋さん北海道立工業試験場 |
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[PROFILE] 2000年3月 北海道大学工学部機械工学科卒業 同 年4月 北海道庁入庁 同 建設部建築整備室設備課 2004年4月 同 渡島支庁経済部建設指導課 2005年4月 同 北海道立工業試験場製品技術部 現在に至る |
エンジニアって何だろ?
8年前、メーカーのエンジニア志望の私が勤めた先は、なぜか地元の役所。「地方公務員」という、一見技術と全く無縁の職場から、私の技術キャリアが始まりました。
最初の仕事は、いわゆるハコモノの設計で、私は建物の空調と給排水設備の担当となりました。しかし、建築設備という言葉すら知らぬほど基礎もなく、周りの人は「公務員」のイメージだけで、私を、仕事を、技術者と認めませんでした。こんな不安と不満が重なって、ここでキャリアを積めるのか正直なところ悩みました。
ところが実際に仕事をして認識の甘さを痛感しました。製図は外注ですから、設計会社さんに的確なコンセプトや基本システムを示せなければ、設計はもちろん建物も不具合だらけとなります。そのため文献を参考にいろいろと試算し、実際の状況を観察しては分析と再考を繰り返す日々が続きました。この中で、結局はユーザーが快適に使えるものを作るために、発注者も請負者も技術者同士でそれぞれの役割を分担しているだけだということに気づかされました。
「技術者とは、会社や職業イメージではなく仕事の役割で決まる」。自力で見つけたこの答えは、今でも私の最大の財産です。新築の学校の暖房性能テストで、深夜残業の翌朝に、朝練の生徒さんと6時前のスクールバスに飛び乗った日の眠かった思い出ともども・・・(苦笑)
公立研究所の研究員として
ここでの研究は地元企業の開発競争力を支える応用研究が中心で、これまで家具工場のFA化(図1)や、農産加工場の野菜裁断装置開発に取り組んできました(図2)。ものづくり現場に近い職場だけあって、先輩たちの装置制御技術も加工機操作も素晴らしく、理論ともどもついていくのがやっとの毎日です。現在は、過去に培ったシステム構築技術を研究実用化の諸課題解決に役立てながら、同時に核となる技術分野の研究開発を日々深めているところです。
やってみなけりゃわかりません
意味のわからない指示や課題には気合いも入りません。でも切り捨てるということは、そこにある自分が気づいてない意味も一緒に捨てるということです。何よりももったいないし、最後に捨てるとしてもじっくり考えて、他と比べてからでも遅くないと思います。
皆さんがこれから何を学び、何年か後にこのコラムに何を書いてくれるのか、楽しみにしています。