工学研究院助教 白崎伸隆氏が,「水系感染症ウイルスの浄水処理に関する研究」により,平成24年度文部科学大臣表彰−若手科学者賞を受賞されました。 感染事例が世界中で増加し,社会的な注目を集めているノロウイルスは,未だ効率的な培養法が確立されていないことから,培養可能な水系感染症ウイルスの浄水処理性評価に広く用いられる添加実験を行うことが極めて困難であり, 培養可能なウイルスに比べて浄水処理性に関する知見がほとんど得られていないのが現状です。 そのため,培養不可能なノロウイルス等を含めた水系感染症ウイルスを高度かつ高効率に処理可能な浄水処理システムは未だ確立されていない状況にあります。 このような中,白崎氏は,ノロウイルス粒子の物理的な浄水処理性を,遺伝子組換え技術・バキュロウイルスベクター・カイコ細胞を併用したタンパク質発現法により作製したノロウイルス外套タンパク粒子を用いるという全く新しいアプローチにより, 培養法の確立を待つことなく詳細に評価しました。 野生のノロウイルス粒子と同等の表面構造(抗原性)・粒子径を有するノロウイルス外套タンパク粒子を用いることにより, ノロウイルス粒子の表面電位等の基本特性のみならず,凝集処理,砂ろ過処理,膜ろ過処理といった処理過程におけるノロウイルス粒子の消長を,世界に先駆けて明らかにしました。 また,新規のウイルス処理システムとして,省エネルギー化・省スペース化が期待できるスタティックミキサーを用いたインライン凝集処理と, 耐圧性・耐薬品性の点から注目を集めているモノリス型セラミック膜を用いた精密膜ろ過処理を組み合わせたインライン凝集−精密膜ろ過処理を提案しました。 この処理を用いることにより,6 log(99.9999%)以上の高いウイルス除去率が得られることを示したのみならず,処理過程におけるウイルス消長メカニズムを解明し, アルミニウム系凝集剤を用いた凝集処理において,ウイルスが除去されるのみならず,不活化されることを世界で初めて明らかにしました。 これら一連の研究成果は,水系感染症ウイルスを含む広範な原水水質に対応し得る高度かつ高効率な次世代型浄水処理システムの開発に資するのみならず, 深刻な水系感染症問題に直面している諸外国における課題解決に大きく貢献するものと期待されています。
本コースでは、「衛生工学・環境工学教育基金」を立ち上げました。
新入試制度(フロンティア入試タイプII)により環境工学コースに入学した学生への奨学金給付、および学部教育用設備の更新や博士後期課程に在籍する学生への経済的支援などに有効に活用させていただきます。
中島芽梨さん、佐藤久教授(水環境保全工学研究室)と、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構、東北大学の研究グループが、メタン生成アーキアに寄生する超微小バクテリアの培養に成功した研究論文について、プレスリリースを行いました。
北島正章准教授(水質変換工学研究室)が、新型コロナウイルスの下水調査に関して、複数のテレビ番組、新聞等に登場しています。
石井一英教授(循環共生システム研究室)が、株式会社クボタ様作成の『2050年未来会議「食料・水・環境」を本気で考える』(Newspicksのネット番組)に出演しました。
北島正章准教授(水質変換工学研究室)らの研究グループが、下水中の新型コロナウイルス濃度が医療機関における感染者数の指標になることを証明し、本研究論文についてプレスリリースを行いました。