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吉中 奎貴

■研究・活動紹介
安全のために、まず壊す

機械宇宙工学専攻
材料機能工学研究室

博士後期課程3年
吉中 奎貴 Fumiyoshi Yoshinaka

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/ウィンドウショッピング
◎ひとこと/最先端の研究は基礎の積み重ねの先にこそあると確信しています。教科書レベルの勉強を大切にしましょう。

「金属疲労」という言葉を耳にしたことがあると思います。破壊事故の原因の大半は、この金属疲労であると言われています。事故を防ぐためには、実際に金属を壊してみることで、金属疲労がいつどのように生じるかを理解する必要があります。

▲未知の現象に挑むため、「ないものはつくる」の精神で独自開発した実験機器

現在、金属疲労の研究分野では、機器がとても長い期間使用された場合に生じる「超高サイクル疲労」という現象が注目されています。超高サイクル疲労の難しいところは“内部”から壊れることです。この特徴のために、破壊の様子を観察することができず、どのように壊れるのかほとんどわかっていませんでした。

そこで、私たちの研究グループでは、病院の画像診断のように金属の中身をX線で観察することに挑戦しました。しかし、普通のX線で観察できる大きさはだいたい1mmくらいが限界であるのに対し、超高サイクル疲労では金属の内側の100分の1mmのき裂を観察しなければなりませんでした。

▲SPring-8において観察したチタン合金の内側でき裂が成長する様子

この「見えない」という問題は、大型放射光施設SPring-8(兵庫県)の世界一明るいX線が解決してくれました。右図はチタン合金の内部でき裂が大きくなる様子を示しています。「見えない」が「見える」に変わることで、急速に研究が進むのを実感しています。

人々の安全に直結する問題に取り組んでいるという責任感とともに、未知の現象に挑むワクワク感を覚えつつ、日々研究に打ち込んでいます。

吉野 翔太

■インターンシップ報告
百聞は一見に如かず

総合化学専攻
分子集積化学研究室

修士課程2年
吉野 翔太 Shota Yoshino

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/野球観戦
◎ひとこと/やってみなくちゃわからない!

▲研究室のメンバーと本場の中華料理

2016年8月末から10月初めまで、中国の長春理工大学へ研究目的のインターンシップに参加しました。グループトランスファー重合という手法を用いて、長さの揃った高分子を精密に合成するという研究を行いました。北大では高分子の精密合成を行っていないので、実験方法など新しく学ぶことが多くありました。

研究を行う際に、現地の教授や学生と英語で話しながら進めることで、自分の英語力、特にスピーキング力の低さを痛感しました。日本と比べて、中国の学生は「言語はコミュニケーションをとるためのツール」という認識が強いため、実際に英語で会話する能力が高く、発音もとてもきれいでした。日本での学生生活では英語論文を読むために英語を使うことがほとんどですが、英語でコミュニケーションをとれるようになることの必要性を強く感じました。

留学前の長春(中国)に対するイメージは、大気汚染や衛生状態の悪さなど、あまり良いものではありませんでした。しかし、実際に行ってみると、そのような問題はほとんどなく、とても快適に過ごせました。また、出会った人たちもとても親切で、来る前の中国のイメージとは、まるっきり違っていました。まさに「百聞は一見に如かず」、外から見ているだけではその国のことは分からないということを強く実感しました。そして、中国だけではなく、もっと様々な国に行ってみたいという願望が湧きました。

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