まちなみと風景の景観学
Aesthetic Control of Townscape and Landscape
[PROFILE]
○研究分野/都市計画、ランドスケープ
○研究テーマ/景観、パブリック・スペース、公共空間の再生
○研究室ホームページ
http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/11ko-/
Aya Sakai : Associate Professor
Laboratory of City Planning
Division of Planning and Performances for Built Environment
○Research field : Town Planning, Landscape
○Research theme : Townscape, Public space, Urban space regeneration
○Laboratory HP :
http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/11ko-/
まちなみや風景の価値を
再評価するための景観学
まちなみは、人々の様々な生業(なりわい)が時間をかけて積み重なりあって形成され、今、私たちの目の前に現れています。土地を様々な生産行為で利用し(土地利用)、自然から身を守る構造物を構築し、住むための建築物を建築し、集まって住むためにまちの公共空間を整備しながら、われわれはビルト・エンバイロメントをつくってきました。その集大成をまちなみとして、風景として見ています。
景観ということばは、こうしたまちなみや風景の価値を理解し共有するために、理論的にその風景の構造を分析しながら客観的に価値や課題を抽出し、風景を再価値化するための道筋をつくる計画をたてる際につかわれます。風景は多種多様ですが、景観として客観的に分析し、その保全や整備の方法を包括的な視点から考えるのが景観学です。
あなたはどんなまちに
住みたいですか?
景観学は建築や都市計画の研究分野のひとつとして人気がありますが、現実社会では、「景観なんて何の役に立つの?」と聞かれることがままあります。では、大雪山麓を遠くにみながら通学していた道に赤い巨大な看板が出現したら? 京都の古いまちなみと聞いて思い浮かべる風景に近代的な建築物があらわれたら? 想像してみてください。これまで多くのまちが、突然出現した異質な建築物や構造物によって、慣れ親しんだまちなみがこわれていくのを機会に景観について考えてきました。私たちはそのお手伝いをしながら、景観をどのようにかたちづくっていくのか、また残したいものはいかに保全するのか、まちがめざす計画をつくってきました。その際には、いつも見慣れている風景をこんなふうにしたらもっとよくなる、と「見える化」することによって行政や住民の方々に気づきの機会を提供しています。(図1・2)
高度情報化社会になっても、われわれは3Dの身体をもっていることに変わりなく、生活する空間(建築)と社会的な生産行為を行う場所(都市や地域)をつくり、使い続けます。あなたが住みたいと思うまちは、どんなまちですか? そんなまちを考えるときに、最初に思い浮かべるのはまちなみや風景ではないでしょうか。そんなまちなみをどうしたら作れるのか考え、作り出す方法を開発し、実際のまちに提案しながら実践しています。
ビルト・エンバイロメント | 人類が、営んできた生産活動と創りあげた都市環境の集大成・ビルトエンバイロメント。地図として平面でみるか、風景として現場でみるか。 |