VOICE Square

卒業生コラム

佐川 瞬大

空調という分野で情報化社会を支える

パナソニック(株)
株式会社NTTファシリティーズ
研究開発本部
環境・エネルギー部門

木幡 悠士 Yuji Kohata
[PROFILE]
2005年3月 北海道大学工学部
社会工学系 建築都市学科 卒業
2005年4月 北海道大学大学院工学研究院
空間性能システム部門 入学(建築環境学研究室所属)
2007年3月 北海道大学大学院工学研究院
空間性能システム部門 入学(建築環境学研究室所属)
2007年4月 株式会社NTTファシリティーズ入社
建築事業本部 都市建築設計部
設備エンジニアリング部門 配属
2012年7月 研究開発本部 環境・エネルギ―部門 配属

建築模型に憧れて

 就職に当たって空調関係の仕事を選びましたが、大学入学当初から空調の専門家を目指していたわけではありません。社会工学系に入学した私は、2年目のコース選択で建築学科を希望しました。「かっこいい建築模型が作りたい!!」という、学科の本来の目的から脱線した動機によるものでした。今になって冷静に考えてみると、「建築」という響きに何やら素敵(?)なイメージを抱いていたような気もします。いざ入ってみると、建築の設計課題に多くの時間を費やすこととなり、今は無き工学部D棟に泊まり込む日々が待っていました(模型ばかりつくっていましたが)。仲間と談笑しながら設計課題に取り組んだ思い出は、今も鮮明に思い出します。研究室選択の際、講義を通じて環境工学に興味を抱き始めていたこともあり、建築環境学研究室に進むことになりました。3年間の研究室生活でアットホームな雰囲気の皆様に囲まれ、環境工学について存分にご指導いただきながら楽しく過ごしました。そして、卒業する頃には空調の世界にどっぷりと足を突っ込んでいたのです。

データセンターって?

図1▲データセンターの利用例   何の迷いもなく建築設備系の道に就職し、今はデータセンター向けの空調システムを構築する仕事に携わっています。あまり聞きなれない「データセンター」という建物について、少しご説明します。今や当たり前ですが、私たちは日常生活の中でICT※1を活用したサービスを利用しています。例えば、交通機関の自動改札、銀行のATM、ネットショッピングや携帯電話など様々な便利なICTサービスに囲まれ、快適に暮らすことができています。これらのサービスを利用するため、サーバー等のICT装置を集中管理する建物がデータセンターになります。

いざ設計してみて……

図1▲ICT装置用ラックが並んだデータセンター 提供:(株)NTTファシリティーズ  入社後、空調設計者としてデータセンターの空調設計を始めたものの、戸惑うことばかりでした。一般的な建物とは違い、ICT装置がとてつもない量の熱を発するデータセンターは、空調で冷却するのにも一苦労します。ラックといわれるICT装置用の箱1つで、一般家庭50世帯分※2の電気代がかかることもあります。さらに、ICTの世界は日進月歩なので、空調システムに対する要求もどんどんハードルが高くなっていく一方です。立ちはだかる難問に悩まされたとき、学生時代に学んだ環境工学の基礎に立ち返る機会が何度もありました。データセンターにとって空調システムは命綱であり、システムがうまくいかない場合、ICT装置が高温で止まり、我々の生活を支えているサービスがダウンする可能性があります。私は今、空調システムの信頼性と省エネ性を天秤にかけながら、使命感に燃えて仕事をしています。

最後に

建築模型への憧れ(?)から始まり、空調という素晴らしい分野に出会うことができました。学生の皆さんも、何か夢中になれるものと出会えるよう、色々なものにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※1:ICT/Information and Communication Technology(情報通信技術)
※2:一般家庭の平均電力消費量を300kWh/(月・世帯)として試算

◆学生コラムへ