レアメタル:希土類の発光
Luminescence of rare-earth compounds
[PROFILE]
○研究分野/光化学、材料化学
○研究テーマ/希土類を用いた光機能物質の創成
○研究室ホームページ
http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/amc/index.html
Yasuchika Hasegawa : Professor
Laboratory of Advanced Materials Chemistry
Division of Materials Chemistry
○Research field : Photochemistry, Material Chemistry
○Research theme : Studies on photo-functional materials based on lanthanide elements
○Laboratory HP :
http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/amc/index_e.html
光るプラスチックも実現
希土類を使った新発光体
希土類はレアメタルに属する元素群で、英語でレアアース(rare earth)と呼びます。レアと聞くと、「希土類は資源的にとても少ないとのでは?」と感じるのではないでしょうか。
希土類の埋蔵量は元素によって異なります。例えば、磁石やレーザー材料に使われるネオジムという元素は亜鉛と同じくらいの埋蔵量があります。また、赤色発光を示すユーロピウム元素は400年以上使っても無くならないと見積もられています。このように、希土類は必ずしもレアではありません。しかし、希土類は地球が生み出す大切な資源の一つです。希土類元素の能力を解明し、その特徴を応用して未来物質を創成することはとても重要と考えています。
希土類元素の中には、通常の有機分子や遷移金属には存在しない「4f軌道」があります。この4f軌道は美しい発光(ピュアな単色発光)を示し、ディスプレイや照明材料などに応用されています。希土類から構成される発光体は、これまでガーネットなどの無機結晶中に希土類を入れたものが主流でした。これに対し、我々は希土類と有機分子(配位子)から構成される新しい希土類発光体「強発光性の希土類錯体」の研究を行っています。
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“強く光る”希土類錯体の魅力
希土類錯体は有機部位の精密設計をすることで、その発光特性を究極に高めることができます。我々は物理化学に基づいた精密な分子設計を行うことで、世界一強く発光する希土類錯体の開発を続けています。また、この希土類錯体をプラスチック中に入れた強発光体の研究も行っています(図1)。
この発光体は光エネルギーを吸収する能力が無機結晶に比べて100倍以上あることから、従来にない新しい発光体として現在注目されています。さらに、ディスプレイやフルカラー発光印刷などの応用に向けた研究も行っています(図2)。これら一連の研究は、2012年の2月にNHK総合にて全国で紹介されました。
このように、我々は希土類の能力を究極に引き出して応用展開する研究を行っています。希土類錯体はとても夢がある魅力的な研究対象です。
希土類 | 希少金属の一部で、17種類ある元素の総称。世界的な産地として中国やオーストラリア、インド、ブラジルなどに偏在している。 |
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