La系合金の水素化燃焼合成
Hydriding combustion synthesis of La-based alloys
[PROFILE]
○研究分野/エネルギー化学工学、金属生産工学
○研究テーマ/エネルギーメディア変換材料の燃焼合成
○研究室ホームページ
http://anergy.caret.hokudai.ac.jp/index.html
Tomohiro Akiyama : Professor
Center for Advanced Research of Energy and Materials
Division of Field Engineering for the Environment
○Research field : Energy Chemical Engineering , Metallurgy
○Research theme : Combustion Synthesis of Energy Media
○Laboratory HP :
http://anergy.caret.hokudai.ac.jp/index.html
燃やすことで目的物を得る
省エネ・高効率の燃焼合成法
粉塵爆発とは、一定の濃度の可燃性の粉塵が浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象です。この一見危険そうな粉体の発熱現象に着目し、その反応熱を巧妙に利用して省エネで材料を合成・成形する先端技術に燃焼合成があります。
燃焼合成法には粉体間発熱反応による自己伝播現象のほか、「生産エネルギーの最小化」「短時間合成」「非平衡相反応」「高純度製品」「シンプルな製造装置」「高い生産性」などの特徴があります。通常タバコを燃やした場合、灰は不要な廃棄物となりますが、この燃焼合成法では発想が逆転し、灰自体を得るために燃焼するという点もユニークです。
燃焼合成法は、1980年代に応用が広がり、最近では水素化物、窒化物、酸化物へと展開しています。得られる製品は光触媒、ジーゼル触媒等各種触媒、半導体、誘電体、電池材料、水素吸蔵合金、熱電素子、耐熱材料、超硬材料など極めて広範に渡ります。
水素を吸蔵する金属水素化物
大学院生の発明で特許を出願
レアメタルの一種であるランタンLaを用いたLaNi5系合金は常温、常圧付近で水素と反応し金属水素化物という形で水素を貯蔵します。体積密度の高い水素貯蔵材料であるだけでなく、優れたエネルギーメディア変換材料であり、二次電池やヒートポンプ等さまざまな用途で利用されています(図1)。
一般的には溶解法により製造し、その後、組成均質化のため高温で長時間の熱処理が必要になります。また、得られるインゴット(地金)は水素との反応性を改善するため粉砕および高圧水素を複数回印加する活性化処理を必要とする点が問題とされています(図2(a))。そこで我々の研究室では、前述の燃焼合成法を適用し、水素吸蔵合金の直接製造を試みました。その結果、高圧水素雰囲気下でLa2O3等の希土類金属酸化物と金属Ca、Niの混合物を加熱することにより酸化物は還元され、直接水素化物を得ることに成功しました(図2(b))。加えて得られた製品は微粉末となり水素との反応性が高く、粉砕および活性化処理も不要となったことから実用化が強く期待されます。なお、本発明は大学院生修士2年安田尚人君(札幌南高校出身)が関わり、本学が特許出願し既に公開されています。
粉体間発熱反応による自己伝播現象 | 一般式A+B=C+QkJで表現可能。粉体混合物の一端を着火すると燃焼波が他端まで伝播し反応が完了する。 |
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