触媒反応によるバイオマス資源からの有用化学物質合成
Production of useful chemicals from biomass resources using catalysts
[PROFILE]
○研究分野/化学工学、反応工学
○研究テーマ/バイオマス転換プロセス、ナノ結晶触媒
○研究室ホームページ
http://cp1-ms.eng.hokudai.ac.jp/
Teruoki Tago : Associate Professor
Laboratory of Chemical System Engineering Division of Chemical Process Engineering
○Research field: Chemical Engineering, Chemical Reaction Engineering
○Research theme: Conversion process of biomass,
nano-crystalline catalyst
○Laboratory HP:
http://cp1-ms.eng.hokudai.ac.jp/
化石資源に依存しない社会へ
有望な候補「バイオマス資源」
私たちの生活に欠かせないガソリンなどの燃料、衣類、プラスチック製品から医薬品に至るまで、さまざまなものが石油を原料として精製・化学反応工程を経て製造されています。そのため、ガソリン価格に顕著に見られるように、これら生活必需品の価格は原油価格に大きく左右されてしまいます。このリスクを分散させるためには、化石資源のみに依存しない社会の構築が不可欠です。その有望な候補として、「バイオマス資源」の利用が注目されています。バイオマス資源と言ってもその種類は多種多様であり、一般的には非可食(食料にならない)動植物由来の廃棄物(廃材、植物油脂、糖類、下水汚泥、家畜糞尿など)が主な対象となります(図1)。
今後の課題は処理後の廃棄物
畜産大国北海道で研究は続く
バイオマス資源からは、発酵法によりメタンとエタノールが、化学反応によりディーゼル燃料が合成されており、これらは化石資源代替と炭酸ガス排出量削減の観点から重要な技術となっています。一方で、バイオマスを発酵や化学反応をさせると、さらに廃棄物(バイオマス処理後のバイオマス)が生成してしまう場合があります。バイオマス資源を余すところ無く利用するためには、この「バイオマス処理後のバイオマス廃棄物」を有効に利用することが不可欠です。
また、北海道は畜産業が盛んで、乳用牛が約86万頭飼育されています。乳用牛から排出される糞尿は1年間で1,400万トンになり、これらは通常堆肥・液肥などの肥料として利用されていますが、3〜4割は余剰分となり有効な処理方法は見つかっていません。
当研究室では、バイオマス廃棄物や家畜の糞尿に水熱処理や触媒による化学反応処理を施して、アセトンやアリルアルコール、プロピレンの合成を行っています(図1、図2)。これらの化学物質は石油から得られる製品と全く同じであり、バイオマス資源を活用する社会の構築に向けた研究を進めています。
化石資源 | 地中に長年堆積した動植物などの死骸が地圧や地熱により変成した結果、燃料として用いられるようになった資源(石油や石炭など)の総称。 |
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