環境負荷低減型の有機廃棄物リサイクルプロセス
Recycle processes of raw organic wastes to reduce environmental load
[PROFILE]
○研究分野/環境化学、触媒化学、分析化学
○研究テーマ/腐植物質の機能解明とその環境技術への応用
○研究室ホームページ
http://www.eng.hokudai.ac.jp/edu/div/envcirc/cyclicmaterials/index1.html
Masami Fukushima : Associate Professor
Laboratory of Chemical Resources Division of Sustainable Resources Engineering
○Research field: Environmental Chemistry, Catalyst Chemistry, Analytical Chemistry
○Research theme: Studies on the functions of humic substances and
their applications to environmental technology
○Laboratory HP:
http://www.eng.hokudai.ac.jp/edu/div/envcirc/cyclicmaterials/index1.html
鉄触媒を用いて短時間で
食品加工残渣(ざんさ)をリサイクル
食品加工工場などから排出される有機残渣を廃棄するにあたり、数百万円のコストがかかっていることをご存じでしょうか? せっかくお金をかけて廃棄した残渣も、約70%は焼却処分されているのが現状で、CO2など温暖化ガスの放出やダイオキシン類など有害化学物質の生成など環境負荷の増大につながります。もし、有機残渣を有価物に転化できれば、会社に利益をもたらすだけではなく環境負荷の低減にも大きく貢献すると考えられます。
有機残渣のリサイクル法として主に微生物発酵(堆肥化)が行われています。しかし、堆肥の熟成には半年から1年の歳月がかかるうえに、その過程でCH4やN2Oなど温暖化係数の高いガスの放出や硝酸による地下水汚染が新たな環境負荷になります。堆肥の熟成とは、有機残渣が難分解性の土壌有機物である「腐植物質」へ変化していくことです。
当研究室では、有機鉄触媒を用い8日間という短時間で有機残渣から腐植物質を含む堆肥様物質が生成できる熱処理法を開発しました(図1)。さらに、処理生成物である堆肥様物質の安全性を調べるため、そして、農業資材としてのさらなる付加価値を見出すため、オオムギなど植物の栽培試験も行っております。
腐植物質の生成を促進する
新たな触媒を探索
腐植物質は、有機残渣の加水分解生成物であるフェノール類、アミノ酸、糖類が縮重合し生成した暗褐色の高分子化合物であると考えられます。このような高分子化合物の生成促進は、有機残渣から堆肥様物質への転化の効率化に繋がります。かつては環境工学上の"厄介者"だった腐植物質には実は"天からの恵み"として受け入れるべき様々な可能性が潜んでいるのです。当研究室では、縮重合反応の促進に対して粘土鉱物が有効な触媒として作用することを見出しました(図2)。現在は、高品質な堆肥様物質の生成を目標に、腐植物質の生成反応を促進する無機・有機触媒系に関する研究を進めています。
腐植物質 | 世界中の土壌・水環境中に存在する、生物の遺骸由来の高分子有機化合物。地球上の炭素循環や生態系の維持に重要な役割を果たしている。 |
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