環境工学が挑む低環境負荷型プロセス - 持続的社会のための新しい浄化・リサイクル技術へ -

20世紀の豊かな物質文明は我々に多くの恩恵をもたらした反面、
「環境汚染」という負の遺産を残しました。
今後、人類社会が持続し発展していく上で
物質製造技術のさらなる進歩は重要ですが、
同時に「環境への配慮」を考慮することが必要です。
しかし、現存の水・大気・土壌の浄化技術では、
プロセスに伴う二次的な環境負荷がしばしば問題となります。
また、廃棄物に対してはリサイクルのコストや
二次的な環境負荷に対する課題が依然として残されています。
したがって、二次的な環境負荷を低減できる
環境浄化および廃棄物の
リサイクルプロセスが必要とされます。

TALK LOUNGE

〉〉〉 環境に優しく自然の力や上水技術を生かして

 河川は飲料水の主な水源であり、汚染土壌の掘削除去や地下水を浄化する技術が重要です。通常これらの技術には多大なエネルギーを要し環境負荷がかかりますが、自然の浄化機構や上水技術の活用で、さらなる効率化と低コスト化が期待できます。また、大気汚染は自動車の排気ガスや発電所、焼却所の窒素や硫黄酸化物が原因と言われています。これらの発生を抑制するうえで、効率的な触媒の開発が重要な鍵になります。

〉〉〉 多量の廃棄物を役立つ有価物へ

 北海道は農業、水産業、畜産業が盛んであるがゆえに多量の廃棄物が排出され、処理コストだけでなく地下水汚染も大きな問題となっています。廃棄物を効率的に有価物へ転化できれば、環境負荷を低減できるうえに廃棄物の付加価値も向上します。肥料のような農業資材やアルコールなど化成品原料のような有価物化を目指して、低コストかつ効率的に転化できる触媒や化学プロセスに対する研究が必要とされています。

(コーディネーター 福嶋 正巳)

新しい環境工学技術の創成を目標に