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冬期つるつる路面を市民の協働とIT技術で克服する Challenge for winter slippery walkway with civic collaboration and IT technology

高野准教授

ウインターライフを安全かつ快適に。
札幌市民とともに築く冬のモビリティ。

北方圏環境政策工学部門
建設管理工学研究室
准教授

高野 伸栄
[PROFILE]
◎研究分野/建設マネジメント
◎研究テーマ/冬期歩道路面管理
◎研究室ホームページ/http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/kyoku/
Shin-ei Takano::Associate Professor

Laboratory of Construction and Maintenance Management
Division of Engineering and Policy for Sustainable Environment

◎Research field:Construction Management
◎Research theme:Walkway maintenance in winter
◎Laboratory HP:http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/kyoku/

冬期つるつる路面は
大きな社会問題

 札幌市では、冬期になると非常に滑りやすい「つるつる路面」が形成され、年間約800件の救急搬送が行われています。高齢者の転倒事故は重症になる割合が多く、冬期間の外出を控える高齢者も少なくなく、住民や観光客にとって、冬期の転倒事故を防ぐことは大きな社会問題となっています。この対策として、国土交通省の支援を受け、冬期歩行者のための路面情報システムの構築とそれを活用した砂まき実験の研究を行いました。実験は図1に示すように、①「つるつる路面特派員」によるリアルタイム路面情報収集、②つるつる注意情報提供、③「砂まきサポーター」による砂まき実験からなっています。このシステムでは「つるつる路面情報特派員」から寄せられる情報を基に、インターネットを通して、リアルタイムのつるつる路面情報(つるつる路面マップ)を提供します。歩行経路の選択や注意喚起として活用してもらい、転倒事故を抑制するとともに、その情報を基に、「砂まきサポーター」が適切なタイミング・箇所での砂散布等を行い、効率的・効果的な路面管理を行うことを目的としています。

報道を通じ全国に紹介
海外からのアクセスもアップ

 転倒しやすい路面の発生には、気温、降雪量等の現況の気象状況のみならず、その時点に至る気象状況の履歴や除排雪の状況、自動車・歩行者交通量など複雑な要因が関係するため、「路面状況の収集・把握」は極めて難しいものではありますが、効果的な注意喚起を行う上で非常に重要な課題です。本社会実験についてはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌等で北海道のみならず、広く全国で取り上げられ、ホームページのアクセスは、海外からのアクセスも多くなっています。積雪寒冷地においては、つるつる路面問題は住民共通の大きな社会問題であり、それらの思いをこのような形で重ねることができたことも、本実験の大きな成果と考えています。

参考サイト「札幌発!雪みちを安全・快適に歩くための総合情報サイト 転ばないコツおしえます。」
http://tsurutsuru.jp/

図1 本実験の全体システム
図1 本実験の全体システム Figure 1: Systems of the experiment.

technical term
つるつる路面特派員 札幌市在住あるいは札幌市内に通勤通学をする一般市民で構成。市内の路面状態の情報をリアルタイムにカメラ付き携帯電話を活用して収集する。