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卒業生コラム

阿部 圭子

より使いやすい商品創出を目指して

パナソニック電工解析センター
株式会社

阿部 圭子 Keiko Abe
[PROFILE]
2002年 北海道大学工学部機械工学科卒業
2004年 同 大学院工学研究科機械科学専攻修士課程修了
同 年 松下電工株式会社入社
同 解析評価技術センター
2005年 株式会社松下電工解析センター
(現パナソニック電工解析センター株式会社)出向
  現在に至る

「ユニバーサルデザイン」
との出会いが始まり

 私が「より多くの人が、より使いやすく」というユニバーサルデザイン(以下、UD)の考え方を最初に知ったのは、大学3年の講義でした。もともと福祉機器に関心があり、機械工学の道に進んだのですが、従来のバリアフリー(障害を取り除く)という考え方をさらに発展させたUDの思想を知ってからは、より多くの人が快適に暮らすための「人にやさしいものづくり」がしたいと思うようになりました。就職活動の際にも、UDに関係した仕事ができそうな会社をひたすら探し、「UDの仕事がしたい」と面接官の方にアピールしたのを今でも覚えています。
 その思いが通じたのか、入社して配属されたのは、パナソニック電工のUD商品開発支援を行う部隊のある、解析評価技術センター(現パナソニック電工解析センター)でした。
そこでの私の仕事は、お客様に「使いやすい」「使い心地がよい」と思ってもらえる商品を開発することです。商品企画・設計者と一緒になって、人は何に使いやすさを感じているのか、どうしたら使いやすい商品になるかを日々考えています。

ユーザー評価に着目して
商品の完成度を高める

発売された上腕血圧計
発売された上腕血圧計
 商品開発は、いちユーザーとして自分で商品を使い、どこを改善したらより使いやすくなりそうか、自分で納得できる仮説を立てるところからスタートします。その後、一般モニターの方を社内に招き、商品の使いやすさを確認してもらいます。主婦、高齢者、子供、ときには身体に障害のある方などに実際に商品を使ってもらい、その様子を観察したり、意見を聞いたりするのですが、自分たちだけでは考えられなかった、気づかなかった新しい発見が数多くあることに、いつも驚いています。
 例えば上腕血圧計を対象としたユーザー評価を行った際には、実際に使用している様子を観察していると、「計測姿勢がつらそうに見えるなぁ……」という気づきがありました。そこから、もっと楽な姿勢で計測できるよう、計測姿勢に着目した商品開発が進み、商品化されるに至りました。
 今後もユーザー評価と商品開発がリンクすることで、一人でも多くの人に使いやすい、使い心地がよいと思ってもらえる商品、意識しなくてもみんなが自然に使っている商品を数多くつくっていけたらと思います。

やり遂げることの
大切さを学んだ大学生活

ユーザー評価風景
ユーザー評価風景
 大学での私の研究テーマは肩関節の動きに関するものでした。人の動作に関わるという点では、比較的今の仕事に近い分野でしたが、全く違う分野の仕事に就く場合もあると思います。しかし、研究テーマを進める中で学んだ、課題を解決するためのアプローチの仕方や考え方、最後まであきらめずにやり遂げることの大切さは今でも活きていると実感しています。
 あっというまに過ぎてしまう学生生活。北海道の広大な土地でたくさんの楽しい思い出をつくると同時に、自分が本当にやりたいと思えることをぜひ見つけてください。

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