
卒業生コラム
![]() |
素材から人を幸せにする商品開発者にTOTOバスクリエイト(株) |
||||||||
[PROFILE]
|
コンクリート研究から
お風呂開発へ
2008年2月に、人生初、自ら開発に携わった商品「ソフトカラリ床」が世の中に送り出されました。TOTO(株)に入社して4年目、現在も浴室の商品企画を担当し、新商品企画のヒアリングや図面作成、商品評価等を行っています。
数年前の大学院時代は、建築材料学研究室に所属し、「外断熱工法におけるコンクリートと接着モルタルの付着強度」というテーマで、コンクリートを練り、引張試験を繰り返す毎日を送っていました。研究テーマと現在の仕事内容が一見結びつかないように感じられますが、大学院時代の研究が今の仕事に確実に活きていることを感じながら、日々業務に取り組んでいます。
壁素材一枚から、
快適な環境をつくる
外断熱工法とは、建築躯体の外側に断熱材を貼ることで室温変化を緩やかにし、熱容量の大きいコンクリート特性も活かしながら、省エネおよび長寿命建築の代表的な手法として用いられているものです。快適な居住空間を作るためには、空間の設計も大切ですが、壁一枚の素材から設計することが大切であると知りました。
また、コンクリートと接着モルタルの付着は、含水率が高いと接着性は落ちますが、表面が多少乾くと良く接着するようになります。さらに、コンクリート強度を表す水セメント比が大きいほど、接着モルタルの接着性も大きくなります。このように、材料の表面は、材料内部の性質を反映していることを知り、材料表面の持つ特性に大変興味を持ち始めました。壁一枚でも、ただの建築躯体ではなく、住環境になんらかの大切な意味を持たせたい、そう思ったのが、今の会社を志望した理由です。
「研究背景→目的→計画→
実施→考察」は共通言語
システムバス 大学時代の研究は、「研究背景→目的→計画→実施→考察」のサイクルを何度も繰り返して進めていたように思います。研究は、最先端で自ら答えを追求していく作業であり、そのサイクルを丁寧に、慎重に、深く考えながら回す必要がありました。はじめは何度も訂正を繰り返し、なかなか前に進めないこともありましたが、このサイクルこそが最も重要であり、今の仕事も含めどの分野においてもその基盤は同じだと思っています。
さらに、評価を進めていく段取り力、人を納得させるための論理的思考とプレゼンテーション力の基礎、建築学会等への参加で得られるコミュニケーション能力の基礎も、大学院時代で同時に身につけることができました。今思えば、社会人になって大切なあらゆる要素が詰まっていたと感じています。
夢は、世界の水まわり文化を
変え続けていくこと
ソフトカラリ床の構造 「ソフトカラリ床」は、浴室の床にソフト感をプラスすることでリビングのようにほっとくつろぐことができるのではないか、という発想から生まれ、人にとって最も快適な柔らかさを設計することが私の担当でした。今後も、まだ世の中にない新しい水まわり文化を創造していくことが私の目標です。