物質をナノメートルの領域において自在に制御するナノテクノロジーの研究開発が現在世界各国で盛んに行われています。それはナノテクノロジーが、21世紀の大きな課題であるエネルギー・環境問題を克服し、人類が豊かな生活を続けるためのキーテクノロジーと考えられているためです。物質をナノメートルのサイズで制御できると従来にない新奇な特性の発現が期待できます。今回の特集では、ナノ物質の合成、計測、応用に関する研究の一端を紹介します。
〉〉ナノの世界に魅せられて、応用分野もさらに拡大
ナノの世界には、秘めたる可能性が大きく広がっています。物理の世界では、物質を数ナノメートルの大きさにすると、“量子効果”と呼ばれる特異な現象が現れ、この現象の電子デバイスへの応用が広がっています。
また、ナノサイズの物質はドラッグデリバリーシステムなど医療分野への応用も期待されています。ナノの物質を直接“見る”技術も目覚ましく進歩しています。
〉〉環境・エネルギーに貢献するナノ材料
ナノ粒子などは、化学の分野、特に触媒分野で古くから利用されてきました。最近ではさらに進化し、規則的なナノ空間を持った材料を合成し、その空間で触媒反応や化学合成を行い、より高効率で必要なものだけを合成する研究が盛んに行われています。太陽エネルギーの利用、燃料電池などにおいてもナノ材料が必要とされています。資源・エネルギーを最大限有効に使うために、ナノの世界の開拓が進んでいます。皆さんもナノの世界を自在に操り、世の中に貢献する科学技術者になりませんか。
(コーディネーター 幅崎 浩樹)
- ナノの空間で機能性材料を合成する
物質化学専攻
界面電子化学研究室
教授 幅崎 浩樹 - バイオナノファイバー
生物機能高分子専攻
再生医療工学研究室
准教授 田島 健次 - サイズの異なる反応物に適した機能性材料 -「多孔体」をつくる
有機プロセス工学専攻
化学反応工学研究室
教授 荒井 正彦
- 双安定ナノスケールマグネット
応用物理学専攻
半導体量子工学研究室
准教授 足立 智 - ナノの世界をのぞく
量子理工学専攻
ナノ材料科学講座
教授 朝倉 清高