特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.431 2023年04月号

工学を学ぼう

特集 09

加熱しても膨張しない材料 Materials that do not expand when heated

自分の研究が誰かの役に立つその思いが日々の原動力

応用化学専攻 構造無機化学研究室
修士課程1年
長井 太一

[PROFILE]

出身高校
桐朋高等学校
研究分野
無機材料化学
研究テーマ
ZnNCNにおける負の熱膨張メカニズム

生活に身近な無機化合物

建物の窓ガラスや現代社会の必需品スマートフォンなど、私たちの身の回りには多くの無機化合物が使用されています。ということは、無機化合物の研究はより便利なものを作り、人々がより快適に過ごせるようになるためのもの。自分の研究がいつか人の役に立つかもしれないという思いは、日々の研究をするうえでとても大きな原動力になっています。

小型化に立ち塞がる熱膨張

スマートフォンに代表されるように近年の電子機器はより高機能に、より小さくなっています。小さくても精密な機械を作るときに、一つ重要な要素があります。それが熱膨張です。世の中のほとんどの物質は温度が上がると、膨張して体積が大きくなります。ところが小型化にあたっては、これが立ち塞がる問題になります。とても小さなスペースの中で精密に設計した基盤などが、熱膨張によって断線してしまったりするためです。その問題を解消するために、加熱しても膨張しない材料を研究しています。

図1 現在研究している物質の構造 Figure 1 : Structure of the substance currently being studied
図2 現在研究している物質とその他の材料との熱膨張率の比較 Figure 2 : Comparison of coefficients of thermal expansion betueen the curredly studied material and ather materials