特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.431 2023年04月号

工学を学ぼう

特集 03

試行錯誤のその先に Beyond the Trial-and-Error

[電気化学×表面処理]の魔法のようなプロセスに魅せられて

材料科学専攻 エコプロセス工学研究室
2023年3月博士後期課程 修了
応用化学部門 界面電子化学研究室
助教
岩井 愛

[PROFILE]

出身高校
群馬県立中央中等教育学校
研究分野
電気化学、材料表面科学
研究テーマ
アルミニウムのアノード酸化によるポーラスアルミナのナノ構造制御
(エコプロセス工学研究室)

「表面」って面白い !

ただのアルミニウムは、銀白色です。ところが、アルミニウムの表面にナノスケール(ナノメートル=10億分の1メートル)の規則的な構造を形成すると(図1上)、その表面は虹色に輝きます(図1下)。こんなに小さな構造をどうやってつくるのか?その答えは、電気化学です!電気化学によって材料表面の構造を制御することにより、材料の見た目を変化させたり、錆びにくくしたり、機能を与えたりすることができます。[電気化学×表面処理]、この魔法のようなプロセスに心惹かれて研究を続けています。

研究は宝探しの旅

「研究」は、明確な答えが用意されている「試験のための勉強」とは大きく異なるものです。答えにたどり着けないことも、予想通りにならないことも多々あります。どのような実験をすれば答えに近づけるのか、先生方や研究室のメンバーと一緒に考え、実際に手を動かして試行錯誤を繰り返し……。答えを探す道のりの中にあるキラキラしたものを集めていく、そのプロセスこそが、私の思う研究の楽しさです。

図1 規則構造を形成したアルミニウム表面の電子顕微鏡写真とその外観写真 Figure 1 : A SEM image and surface appearance of an Al specimen with ordered nanostructure