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平成28年度 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を
田口精一教授と松本謙一郎准教授が共同受賞

▲授賞式での記念撮影(写真右が田口教授、左が松本准教授)

 本研究院応用化学部門の田口精一教授と松本謙一郎准教授が、平成28年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を共同受賞し、4月12日に文部科学省で授賞式が行われました。本受賞研究は、再生可能なバイオマスを原料として、高性能かつ高機能のバイオベースプラスチックを「オールバイオプロセス」で合成するもので(図参照)、石油資源の節約およびCO2排出量の削減に大きく寄与することが期待されます。
 代表的なバイオプラスチックであるポリ乳酸は、乳酸発酵と化学重合を組み合わせて得られるポリマーで、包装材をはじめ、生体医療材料や自動車内装材などに利用され普及しています。田口教授らは、微生物がポリエステルを合成できることに着目し、その能力を転用して微生物細胞内で乳酸ポリマーを直接合成することに挑戦しました。「素朴な好奇心から始めた研究が本当に実現した」鍵となったのは、“乳酸重合酵素”の開発でした。最初は自然界の酵素の中から乳酸重合活性を持つものを探しましたが見つからず、最終的に進化分子工学の手法を用いて人工的に変異を加えた酵素を用いることで目的が達成されました。研究の初期段階では、北大内の研究者およびトヨタ自動車・トヨタ中研との共同研究が大きな推進力となりました。この新しいプロセスを用いると、これまで発酵と化学合成を組み合わせないと合成できなかった乳酸ポリマーが、一段階の発酵で作れるようになります。微生物機能を用いるもう一つのメリットは、酵素が分子の右手と左手を厳密に認識できるため、立体化学が精密に制御されたポリマーが合成できることです。これらの研究は、現在JSTのCREST(二酸化炭素の資源化)、ALCA(低炭素社会実現)プログラムに加え、企業の協力も得ながら推進しています。このように、バイオマス原料から高付加価値材料を創製するまでの一貫プロセス開発は、生物資源豊富な北海道大学・農工連携の腕の見せどころです。
(応用化学部門 松本 謙一郎)

▲(図)乳酸ポリマーのオールバイオプロセス合成

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トヨタ自動車株式会社 代表取締役副社長
加藤光久氏による特別講演会が行われました 

 5月13日(金)、工学系キャリアガイダンスの一環として、鈴木章ホールにおいてトヨタ自動車株式会社の加藤光久代表取締役副社長による講演会が開催されました。
 加藤副社長は本学の機械工学科の卒業生であり、「持続可能な社会の実現に向けたトヨタのチャレンジ」と題した講演に、360名を超える参加者が興味深く聞き入りました。同社は「トヨタ環境チャレンジ2050」と称して、2050年にグローバルでトヨタの新車の走行時のCO2排出量を2010年比で90%削減する、などの長期目標を掲げており、燃料電池自動車「ミライ」もこの一環です。水素は様々な方法で製造可能で、貯蔵しやすさに加えてエネルギーの地産地消においても最も有望な選択肢の一つとの考えが説明され、将来の社会づくりに真摯に取り組んでいるトヨタ自動車の思想が伝わりました。最後に学生へのメッセージとして北大の素晴らしさ、ならびに大学生活における様々な経験はいずれも無駄ではなかったことをお話いただき、大変すばらしい機会となりました。


▲トヨタ自動車株式会社代表取締役副社長 加藤 光久 氏

▲講演会の様子

(エネルギー環境システム部門 近久 武美)

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2016年度工学部オープンキャンパスへの
来場をお待ちしております

▲昨年度の体験講義の様子  高校生の皆さん、今年も恒例の工学部オープンキャンパスを8月7日(日)と8日(月)の2日間にわたって開催します。北大の工学部で行われている研究や教育のホットな情報を得る絶好のチャンスです。また、ものづくりの面白さや工学の魅力を身近に感じ、高校で習っている数学や理科の科目等が「工学を通してこんなに世の中の役に立っているんだ」ということを知ることができます。
 初日は自由参加プログラムで、「体験講義」「先輩と話そう-研究パネル紹介-」「工学部進学相談会」「AO入試説明会」「保護者のための工学部案内」を予定しています。2日目は高校生限定プログラムで、「工学部の学科紹介」「体験講義」「研究室体験」「研究施設探訪」を予定しています。詳細は本学のウェブサイト等から入手できます。高校生限定プログラムは事前の申込みが必要ですが、自由参加プログラムは申込み不要でご参加いただけます。皆さんとオープンキャンパスでお会いすることを楽しみにしております。
(工学部入試広報室長 横田 弘)