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学生コラム

■研究・活動紹介
鉄鉱石が語る初期地球の環境と生命の進化

環境循環システム専攻
環境地質学研究室

修士課程1年
石川 宏 Ko Ishikawa

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/山スキー
◎ひとこと/学生生活を楽しみましょう。

 我々の生活を支えている鉄資源のほとんどは、地球の歴史約46億年のうち前半部分の地層から採掘されています。縞状鉄鉱層と呼ばれるこれらの岩石は、主に初期地球における海洋からの沈殿物で構成されており、当時の海洋溶存成分を反映しています。縞状鉄鉱層の形成は、酸素発生型光合成生物の進化とそれに伴う大気・海洋の酸化と密接に関連していると考えられており、縞状鉄鉱層の化学組成、鉱物組成、同位体組成などを調べることで、当時の生物活動や地球表層環境を知ることができます。 図1▲オーストラリアに存在する大規模鉄鉱山
 鉄鉱石をオーストラリアやブラジルなどからの輸入に頼っていることからも分かるとおり、日本にはこのような岩石は存在しておらず、海外で地質調査や岩石試料採集を行わなければなりません。私の研究は、南アフリカ共和国の東北部にあるバーバトン地域にみられる32億年前の地層をターゲットに、当時の海洋環境を復元することを目的としています。縞状鉄鉱層の形成プロセスや初期地球の環境を明らかにすることは、新しい鉄資源の発見に繋がる可能性があり、工学的に重要であると言えます。この研究テーマに出会うまで、岩石が地球環境と生物進化を解き明かす鍵を握っているなどと考えたことはありませんでした。皆さんも、自分の興味のあることを模索していく中で、熱中できる研究テーマに出会えると思います。

■インターンシップ報告
「人種のるつぼ」に身を置いて

エネルギー環境システム専攻
原子力安全工学研究室

修士課程1年
小林 明弘 Akihiro Kobayashi

[PROFILE]
◎出身地/宮城県仙台市
◎趣味/サイクリング、旅行
◎ひとこと/とりあえず飛び込んでみれば後は何とかなるもんです。チャンスは自ら作り、自ら利用するもの。どんどんチャレンジしよう!!

図1▲一緒に実験を行った学生と  アメリカ・ニューヨーク市立大学シティカレッジで、2013年10月~12月の2ヵ月間、インターンシップ生として、潜熱による蓄熱が可能な「相変化物質」の熱伝達率を測定する実験を他学生と協力して行いました。当初、私が主体となり実験を進めてほしいとの話を聞いたときには、英語もまともに話せないのに大丈夫か…と心配でした。伝えたいことをうまく言えずに呆れられることもありましたが、片言でも自分の考えを伝えようとする姿勢を大切にすることで、次第に意思疎通もスムーズになり、自然と実験が捗るようになっていきました。苦労もありましたが、自分が実験を主導することができたのは本当に良い経験になりました。
 世界最大級の都市であり、様々な人種や文化が入り乱れるニューヨークでは、いつもその雰囲気に圧倒されてばかりでした。とにかく誰もがバイタリティに溢れているように感じ、大きな刺激を受けました。
 これまで一度も日本から出たことが無い私は、外国人や英語でのコミュニケーションに対してある種の恐怖感を抱いていました。しかしこの2ヵ月間、「人種のるつぼ」に身を置くことによってそれも克服できたように思います。学生のうちに海外を経験し、視野を広げることは、その後の進路を考える上でも大いに役立つはずです。迷っている方はぜひチャレンジしてみてください。

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