工学における先端計測

1960年にレーザーが発明されて以来、
光通信やブルーレイ・DVDの記録・読み出しなど、
いまやレーザーは私たちの生活で当たり前のように使われています。
その一方で、レーザー技術はさらなる進歩を続け、
最近では数10cm単位で高さが異なる対象物の、
重力の違いですら検出できるようになりました。
今回の特集では、北大工学研究院で行われている
レーザーを用いた最先端の研究の一端を紹介します。

TALK LOUNGE

〉〉〉 レーザー開発によるテクノロジーの進化

 レーザー光は自然に存在する光ではなく、人工的に作り出された光です。レーザーは位相(波の山・谷)が揃っており、ビームの品質がよいことが特徴で、きわめて強い光やきわめて短い時間だけ光るパルスを作ることもできます。レーザーには波長があり、短いものはX線領域から長いものは赤外線を超えたテラヘルツ領域まで出すことができます。このようなさまざまな特性を示す新レーザーの開発が、さらに新しいテクノロジーの誕生に貢献してきました。

〉〉〉 新たな領域を「見る」「測る」ことも可能に

 原子・分子が振動する周期よりも短い時間内で光るレーザーパルスを使えば、原子・分子の運動を「見る」ことや、高精度の「ものさし」を作ることができます。また、わずか数10nm(ナノメートル)の分解能をもつ顕微鏡や、海洋の高波など数100mの流れを「視る」実験にもレーザーは応用されています。レーザーの波面を工夫すれば、今までにない力の与え方も可能です。レーザーの特性を駆使することで拓かれた前人未踏の世界をご覧ください。

(コーディネーター 森田 隆二)