VOICE Square

学生コラム

■研究・活動紹介
キラルな分子の左右を作り分ける

総合化学院 総合化学専攻
有機合成化学研究室

博士後期課程2年
坂口 祐亮 Yusuke Sakaguchi

[PROFILE]
◎出身地/愛媛県松山市
◎趣味/音楽鑑賞
◎ひとこと/数年後に今を振り返ったとき後悔しないと思える生き方を。

図1▲分子触媒を用いるキラル化合物の合成  鏡に映した形と元の形が一致しない物体を「キラル」な物体といいます。右手と左手が典型例ですが、野球のグラブや風車もキラルな物体といえます。
 このようなキラルな構造は、目に見えない小さな分子にもたくさん存在します。右手型分子と左手型分子は、沸点や融点など物理的性質はまったく同じですが、人体など生体に対する機能(生理活性)が異なります。例えば人口甘味料のアスパルテームは、右型は砂糖の約200倍という強い甘みを示すのに対し、左型は苦味を感じさせます。右型分子が良薬であっても左型が毒であるということもあり得ます。 図2▲実験の様子
現在、キラル化合物は、香料、食品添加物、医農薬など幅広く利用されており、分子の左右を作り分ける反応の開発は、極めて重要な研究課題となっています。
 その重要性に鑑み、私はキラルな分子を触媒に用いる効率的なキラル化合物合成反応の開発研究を行っています。分子は目には見えませんし、一つ一つ手にとることもできませんので、キラル化合物の一方を高選択的に与える触媒の開発は容易ではありません。分子の世界にある法則はまだまだわかっていないことも多く、期待した結果が得られないこともしばしばですが、人々の豊かな暮らしに欠かせない医薬などを効率的に供給する方法の創出を目指し、日夜研究に励んでいます。

■インターンシップ報告
地球の裏側へ行ってきました

工学院 環境創生工学専攻
水質変換工学研究室

修士課程2年
吉村 岳 Takeshi Yoshimura

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/音楽・旅行・サイクリング
◎ひとこと/海外で勉強する、働くという経験はなかなかできるものではないので、一生の思い出になります。少しでも興味があればぜひ挑戦してみてください。

図1▲シェアハウスのメンバー(+毎晩遊びに来る友人)と  2013年8月~9月の2ヵ月間、ブラジルのサンパウロ州Botucatuにある「サンパウロ州立パウリスタ大学」にてインターンシップを行いました。「バイオプラスチック利用等、農業廃棄物の有効利用について学ぶこと」という研修内容で、私の修士研究は水処理及び衛生工学に関するものなので、具体的な内容は違いましたが、同じ「環境工学」の分野として共通する考え方が多くありました。また、講義で日本の廃棄物処理について紹介したり、リサイクル工場を見学させてもらったり、地元の学生と情報を交換することでより視野が広がりました。
 滞在中は、他の学生4人とシェアハウスで暮らしていました。私以外は全員ブラジル人で、一緒に他のシェアハウスやパーティーに行って友達を紹介してくれたり、ブラジルの料理を作ってくれたり、慣れない異国での生活を最大限楽しめるようサポートしてくれました。
 ブラジルに行って最も感銘を受けたのは、国籍を問わず誰とでも友達になる、陽気でフレンドリーな雰囲気でした。古くから移民を受け入れ続けてきた多民族国家ならではの国民性を感じました。
 もともと海外に興味があり、工学院の英語コースe3にも所属していましたが、このインターンシップでより一層異文化への関心が高くなりました。将来、海外に出て仕事をするかは分かりませんが、自分の専門や常識の枠にとらわれず、柔軟なものの見方ができる社会人になりたいと思っています。

◆卒業生コラムへ