工学における先端計測

1970年代、人類は環境の受け入れ能力が有限であることを知りました。
近年は、地球温暖化などの地球規模の環境影響が、
目に見える形で表れつつあります。
工学技術は、私たちの生活を便利で豊かなものにしてくれる一方で、
どんな技術にも直接的かつ間接的な汚染物放出がつきものです。
すなわち、技術にはプラス面と同時に
マイナス面があるということを念頭に置きながら、
本特集では、環境への影響を
最小にするための工学技術を紹介します。

TALK LOUNGE

〉〉〉 環境負荷を低くする高度技術

 環境負荷の少ない技術とは、できるだけ小さな環境負荷で目的を達成する、あるいはアウトプットを大きくする、という2つの方法があります。本特集の「カーボン・テクノロジー」では燃焼時に汚染物を排出しない環境負荷の小さな技術を、「高温材料」ではエネルギーを効率よく回収できる高温燃焼によりアウトプットを大きくする材料開発を研究しています。また、「洗浄」ではいまや社会に不可欠な半導体などの製造において、汚染を発生させずにかつ洗浄能力を高める、低負荷かつ高アウトプットの先進技術に取り組んでいます。

〉〉〉 システムとして考える環境負荷低減

 社会は、数多くのプロセスからなっています。技術の部分的な解決は、社会全体としては逆に望ましくない結果に至るかもしれません。どのようなシステムを作ればいいのかを考えることも、環境負荷を低減する手段の一つです。その例として「木質バイオマス」は材料選択から利用までを考え、「ごみ問題」ではさまざまなごみ処理方法について、経済・社会も考慮しながら最適なシステムを見つけ出そうとしています。

(コーディネーター 松藤 敏彦)