気液界面ダイナミクスのマルチスケール解析
Multi-scale dynamics of gas-liquid interface
[PROFILE]
○研究分野/流体力学、分子流体力学
○研究テーマ/混相流体解析、希薄気体解析
○研究室ホームページ
http://mech-me.eng.hokudai.ac.jp/~info/
Kazumichi Kobayashi : Associate Professor
Laboratory of Fluid Dynamics
Division of Mechanical and Space Engineering
○Research field : Fluid Dynamics, Molecular Fluid Dynamics
○Research theme :Multi-Phase Flow Analysis,Rarefied Gas Dynamics Analysis
○Laboratory HP :
http://mech-me.eng.hokudai.ac.jp/~info/
「人体」も混相流体の一つ
医療に活用される流体力学
気体と液体から構成される混相流体には、各相の間に必ず「界面」が存在します。我々は、この界面を含む流れに対して、多様な時空間スケールから理論的・実験的に解析することを目指し、流体力学研究室にて渡部正夫教授と優秀な!学生達と共に日々切磋琢磨しています。
混相流体の応用例の一つに医療があります。腎臓結石の治療に効果的な「体外衝撃波結石破砕法」は、文字通り体の外から照射する超音波(衝撃波)で体内の結石を粉々に砕く治療法ですが、この衝撃波が体内を通過するときの複雑な圧力場の影響で気泡(キャビテーションバブル)が発生します。気泡が激しくつぶれるとさらに高い圧力の衝撃波が発生し、生体組織の損傷を引き起こすことがわかっています(図1)。こうした医療における混相流体の現象解明にも、流体力学解析は非常にパワフルなツールとして役立っています。
マイクロからマクロスケールまで
包括的な視点で本質に挑む
現在のところ、流体力学解析は医療だけでなく工業や産業、環境の分野でも巨視的な「マクロスケール解析」が活用されています。その一方で、気液界面が存在している以上、液体の蒸発や蒸気の凝縮といった分子スケールから取り扱わなくてはいけない現象が必然的に起こっており、これらの現象には、分子運動を基準とする「マイクロスケール解析」が必要となります(図2)。
この問題解決には数多くのアプローチがあると考えられますが、私はその答えの一つが「分子運動を統計的に取り扱う解析」であると考えています。この解析手法は、分子の速度分布関数を用いることで、液体・気体の混相流を取り扱うことが可能となっています。
まだ単成分の流れしか取り扱うことができませんが、将来的には、多原子分子や多成分系へこの理論体系を拡張し、マイクロからマクロスケールの現象を包括的に取り扱い、工業上有用である様々な気液界面のダイナミクスへ応用することを目指しています。
混相流体 | 物質の複数の相(気体、液体、固体)が混ざり合って流動する混合体。 |
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