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学生コラム

■研究・活動紹介
環境・エネルギー応用を目指した
酸素貯蔵材料の開発

総合化学院 総合化学専攻
構造無機化学研究室

修士課程2年
平野 佑佳 Yuka Hirano

[PROFILE]
◎出身地/石川県白山市
◎趣味/ドライブ
◎ひとこと/研究でも何事も、楽しく取り組むことが大事だと思います。

図1▲酸素濃縮実験に用いるガスクロマトグラフ装置 酸素貯蔵材料とは、温度や周囲のガスの変化に応じて酸素を吸収・放出する物質です。その代表例であるセリア・ジルコニア固溶体(CZ)は、自動車の排気ガス中に含まれる有害なガス成分を酸化・還元して分解浄化する触媒材料として活躍しています。一方、酸素濃縮や燃料電池など様々な環境・エネルギー応用のためには、CZとは異なる酸素吸収放出特性を持つ物質の開発が望まれます。
 私の研究では、新しい酸素貯蔵材料Ca2AlMnO5+δ(δ=0~0.5)を手掛けています。この物質は、図1の矢印で示す層において余剰酸素(δ)の取り込みとはき出しを起こします。CZとは全く異なる化学組成と結晶構造をもつため、新しい応用分野で役立つ可能性があります。また、CZがレアメタル(枯渇が問題となっている)を含むのに対して、Ca2AlMnO5+δは岩石中や海底に豊富に存在する元素のみでできていることも魅力です。
図2▲図1 Ca2AlMnO5+δ(δ=0~0.5)の酸素吸収放出
 に伴う結晶構造の変化
 現在、Ca2AlMnO5+δの酸素吸収放出現象を利用した酸素濃縮の検証実験を行っています。この物質については、酸素吸収放出の適切な温度・ガス組成など不明点が多い上、試料の純度がわずかに低下するだけで特性が大幅に劣化するなど、解決しなければならない課題が沢山あります。しかし、実験で得られる知見が新たな環境・エネルギー応用へ発展すると期待できるので、興味深くやりがいのある研究です。

■インターンシップ報告
苦労と不便から学ぶこと

環境創生工学専攻
大気環境保全工学研究室

修士課程2年
吉田 貴昭 Takaaki Yoshida

[PROFILE]
◎出身地/広島県三原市
◎趣味/クラシックギター
◎ひとこと/色々なものから感動してください。

図1▲ボイラー据え付け作業 修士1年時の9月から翌年3月までの5ヵ月間、ドイツのデトモルトにあるボイラーメーカーでインターンシップを経験しました。インターンシップを希望したきっかけは、現在研究している自然エネルギーの最先端技術とその環境を肌で感じたいと思ったからです。職場では、日本人は私一人という環境でしたので、特別な研修プログラムはなく、実際の仕事を体験するといったものでした。休日を大切にするというドイツ人の労働への考え方に最初は戸惑いましたが、相手の文化背景を知ることで要望にこたえることができました。
 ボイラーの据え付け作業の現場では、お客様に提供するボイラーを一から組み立てましたが、現地の技術者と私の二人で緊張感を持って作業をしました。油と埃まみれになりながらも、組み立ての進捗状況を見に来るお客様の笑顔を目にすると、働くやりがいを感じました。
 生活面でも苦労することが多く、買い物や料理をするにしても、日曜日はお店が休みという法律や、肉や魚の対面販売形式には骨を折りました。しかし、ドイツで生活することで、旅行では得られない体験が数多くできたと思います。
 この5ヵ月間、日本とドイツ両国の多くの方々に助けていただき、無事にインターンシップを終えることができました。このことに感謝し、これからも辛いことも自分の糧になると考え何事にも取り組んでいきたいと考えています。

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