卒業生コラム
革新的な研究テーマを設定、
|
|||||
[PROFILE]
|
材料からデバイスまで
皆さんは、NTTの研究所というとどんなところを想像するでしょうか。おそらく、通信技術の研究をしているというイメージが大半だと思います。しかし実際には、通信に限らず環境や医療など幅広い分野の研究を行っています。
私は現在、KTa1-XNbXO3(KTN)という物質の結晶成長、物性研究、そしてデバイスとして世の中に出すという、とても幅広い分野を担当するグループに所属しています。その中で、私の担当しているテーマは、KTN単結晶の量産技術と物性の研究です。このKTNという物質は、電圧をかけると屈折率が非常に大きく変化する性質があり、革新的な光学デバイス材料として医療分野などへの応用が期待されています。下図はNTTが世界で初めて大型化に成功したKTN単結晶と、KTNを使った光スキャナーの性能を比較したものです。
学生時代は、放射線計測に使う材料の結晶成長とその性能を測定し、社会のどの分野でデバイスとして役立てることができるかという研究をしていました。材料からデバイスまで全体を
世界初を体感する楽しさ
誰も成しえなかったことを達成するには、大きな困難を幾つも乗り越えなければなりません。相当の忍耐と努力を必要とし、失敗も沢山します。しかし、それを成し遂げたときの感動はいつまでも忘れられないものになり、大きな自信にも繋がります。
私自身もそうでしたが、研究を始めて間もない学生の皆さんには、地味な作業の連続を退屈と感じる方も多いかと思います。しかし、その先には味わったことのない感動が待っていることを意識して、研究に邁進していただきたいと思います。
自らのアイディアを世の中に
世界初に魅了されて研究職に就き、現在は入社4年目。企業研究者としてはまだまだ未熟で、試行錯誤の毎日です。思うようにいかないことも多く、大失敗も沢山していますが、まずは研究者として筋肉質になるため、基本をしっかりと身につけながら自分の可能性を広げるため、新しいことに挑戦するよう心がけています。
材料研究からデバイス開発、そして市場に出すまでを行う弊社では数少ないグループに所属していることに感謝し、様々な経験を積んで1日も早く社会、会社、学会等に貢献できる研究者になりたいと思います。
将来の目標は自ら研究テーマを設定し、チームを率いて世の中に革新的な製品を出し続けられる人材になることです。目標達成までどのくらいかかるか今は全く想像がつきませんが、自分の研究成果が製品開発につながり、そして世界の市場に受け入れられ、日本のものづくりに貢献するその日を夢見て研究を続けています。