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世界で戦える技術者・研究者を目指そう!
工学系教育研究センター(CEED)の取り組み

図1 海外インターンシップ派遣及び受入実績(平成17年度~平成22年度)
▲図1 海外インターンシップ派遣及び受入実績(平成17年度~平成22年度)

 21世紀に入って発展するアジア、アフリカ、南米などの新興国と共存・共栄するためには、資源の無い日本は「エネルギーの有効利用」、「環境にやさしい技術」、「自然との調和」などを支える世界トップクラスの工業技術力を開発し、活用していく必要があります。
 北大はこれに対応できる学生を育成するために、平成17年4月に工学系教育研究センター(CEED)を設立し、工学系大学院生の履修科目として「海外インターンシップ派遣教育プログラム」を提供しています。これは、大学で勉学する基礎学術が産業社会でどのように活用されるかについて知ることや学生自身の国際的な場での活動能力の向上およびリーダーシップやコミュニケーション能力を学ぶことに極めて有用な教育プログラムです。この海外インターンシップに参加する大学院生は、大学から渡航費の支援を受けることができます。また、その際に必要となる英会話力の向上のために、大学院へ進学する学部生も大学内で開講される英会話講座を受けることができ、受講料の一部が大学から補助されます。
 平成22年度に海外へ派遣した学生は44名で、派遣先は、企業12名、大学29名、公的研究機関3名であり、平均派遣期間は2カ月でした。各派遣学生の研究テーマは、実験、解析・計算、ソフト作成、調査、試作・評価など多岐にわたっています。CEED発足以来、海外へ派遣した学生総数は6年間で30カ国169名、学生に対する教育効果(勉学意欲・国際意識向上)を期待するための外国人学生の受入数は32カ国185名に達しています。(図1)そして、海外インターンシップを体験した学生の派遣前後における異文化理解、問題把握発見能力、チャレンジ精神などの12項目の資質に関してアンケート調査した結果、派遣前では83%の学生が「平均的」以下であったのが、派遣後には72%の学生が「やや優れている」「かなり優れている」へと著しい向上が認められています。(図2)
 この海外インターンシップ派遣の教育効果が極めて高いことを踏まえて、CEEDは平成22年度より「国際インターンシップの拠点化を図り、インターンシップ教育の恒常化による人材の国際流動性を向上させる」ことを目的に、第2期6ヵ年計画の教育プログラムの開発に着手しました。達成目標は、毎年100名以上を海外へ派遣し、毎年100名以上を海外から受入れる「国際インターンシップ拠点形成」であり、多くの工学系学生に対して多大な教育効果(勉学意欲・国際意識向上)を発揮できるように推進し、「世界で戦える技術者・研究者を目指す!」学生の育成に努めて行きます。

図2 海外インターンシップ派遣の教育効果
▲図2 海外インターンシップ派遣の教育効果

インターンシップとは:授業の聴講や英会話の習得が目的ではなく、海外の大学・企業・研究機関などの受入先が企画した研究プロジェクトに参加し、企業であれば給与をもらっての就業体験、大学等では研究プロジェクト体験をするもの。

(工学系教育研究センター:吉川孝三)