特集2 ーこれがわたしの研究室ー

REPORTER 4

田中 真悟

エネルギー環境システム専攻
原子力環境材料学研究室
博士後期課程3年

田中 真悟 Shingo Tanaka

[PROFILE]
◎出身地/北海道札幌市
◎趣味/ジョギング

REPORT1
未来のために、
安全な放射性廃棄物処分技術を。

 エネルギーと地球環境問題に興味があり、この分野を選びました。原子力はエネルギー安定供給と地球温暖化の両問題を解決できる唯一のエネルギー源ですが、放射性廃棄物の発生が伴います。放射性廃棄物という次世代への負担を残さずに、原子力エネルギーを有効利用するためには、安全な放射性廃棄物処分技術の確立が不可欠です。私は、放射性廃棄物処分技術の研究開発を通じて、豊かで安定した社会の実現に貢献したいと考えています。

高レベル放射性廃棄物の地層処分概念図

REPORT2
放射性核種を遅延させる
メカニズムを解明。

 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)は、その周りを炭素鋼および粘土緩衝材で覆い、地下300メートル以深の安定な地層に処分されます。このとき用いられる粘土緩衝材は、水をほとんど通さず、放射性核種の動きも遅延させるという優れた特性を持っています。私の研究では、この粘土緩衝材中の移行遅延のメカニズムの解明を目指しています。拡散実験や電位勾配下での移行実験では、実際に放射性トレーサーを用いています。

放射性トレーサーを用いた実験

REPORT3
より安全で合理的な
処分システムの設計。

 ガラス固化体の放射能が自然界のウラン鉱石のレベルにまで低下するには、数万年を要します。このため、処分の安全性を評価するためには、地下環境下におけるバリア材の長期間の劣化を考慮した上で、放射性核種の移行挙動を数万年のオーダーで予測する必要があります。粘土緩衝材の放射性核種の移行メカニズムを科学的に明らかにすることは、安全評価の信頼性向上に繋がり、より安全で合理的な処分システムの設計に役立ちます。

安全評価の一例

REPORT4
国際会議で
質問攻めにされたうれしさ。

 国際会議での発表は、海外の研究者にもアピールできる絶好のチャンスです。私は、大学院での英語による授業や国際会議派遣支援制度などを積極的に利用しました。そして、2010年のフランスでの国際会議で念願の口頭発表の機会を得ることができました。準備などが大変で、当日もとても緊張しましたが、発表後には何人もの研究者に取り囲まれて質問攻めに遭うなど、研究成果が認められたことの充実感と喜びを得ることができました。

国際会議でのプレゼンテーション


  • 早坂 知士REPORTER 1
    生物機能高分子専攻
    バイオ分子工学研究室
    博士後期課程2年
    早坂 知士
  • 池田 隼REPORTER 3
    機械宇宙工学専攻
    計算流体工学研究室
    修士課程1年
    池田 隼
  • 羽深 昭REPORTER 5
    環境創生工学専攻
    水環境保全工学研究室
    修士課程2年
    羽深 昭
  • 清兼 直哉REPORTER 2
    材料科学専攻
    材料数理学研究室
    博士後期課程1年
    清兼 直哉
  • 田中 真悟REPORTER 4
    エネルギー環境システム専攻
    原子力環境材料学研究室
    博士後期課程3年
    田中 真悟
  • 大友 涼子REPORTER 6
    環境循環システム専攻
    地圏物質移動学研究室
    博士後期課程1年
    大友 涼子