
卒業生コラム
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原子力エネルギーを支える
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[PROFILE]
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日本の原子力エネルギーを
支える研究開発
放射性廃棄物の地層処分の概念図 冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、蛍光灯、エアコン、テレビ、オーディオ、パソコンに携帯電話、etc……。ちょっと部屋の中を見渡してみると、私たちの身の回りには実にたくさんの電化製品が溢れていることがわかります。私たちの生活と電気は切っても切れない関係にありますが、日本では、発電電力量の3割近くを原子力発電が占めています。私たちは毎日の生活の中で何気なく電気を使っていますが、原子力発電に伴って必ず放射性廃棄物が発生します。私が所属する「地層処分研究開発部門」では、こうした放射性廃棄物を地下に安全に埋設し、処分するための研究開発を行っています。
専門以外の分野も積極的に
学ぶ姿勢が必要
日本では、発電が終わって原子力発電所から取り出された使用済燃料は再処理され、まだ燃料として使えるウランやプルトニウムを取り除いた後に残る液状の廃棄物をガラスに溶かしこんで固化します。これをガラス固化体と呼びます。こうしたガラス固化体に代表される、放射能が高い廃棄物は、地下300mより深いところに埋設処分されます。地下深部では、ものの動きがゆっくりしており、また、地表より天然現象や人間活動の影響を受けにくいので、放射能が十分小さな値に減衰するまでの数万年以上の期間に渡って、放射性廃棄物を人間の生活環境から遠ざけることができます。「地層処分研究開発部門」では、実験室や地下坑道における様々な試験や、計算機を用いたシミュレーションを行い、地層処分の技術的信頼性を高めていくための研究開発を進めています。
放射性廃棄物を
数万年以上に渡って隔離するために
今の職場で仕事をするようになってから半年が経とうとしています。最近では、高速増殖炉など、次世代の原子力発電所から発生する放射性廃棄物を地層処分する場合の周辺環境への影響を評価する仕事を少しずつ任せられるようになってきました。まだあまり進んでいない分野なので、同じ職場にいる様々な専門分野の先輩方と研究の進め方について議論したり、学会や研究会で他の研究機関の専門家の方々からアドバイスを頂きながら評価を進めています。大学時代に自分が専門として学ばなかった分野について議論する場合もあるので、理路整然と自分の意見を述べると共に、相手の意見を注意深く聞いて論点を整理していくことが特に重要です。大学院の研究室に在籍していた時も、指導教官の先生と激しく意見を闘わせたり、外部の研究会などで色々な専門分野の先生方と積極的に議論しましたが、その時の経験が今になって役立っていると強く感じます。
地層処分基盤研究施設(ENTRY)
独立行政法人日本原子力研究開発機構
地層処分研究開発部門ホームページより引用 これからも、自分の信念を大切に、一方で、柔軟に人の意見を取り入れながら、丁寧に論理を組み立てていくという意識をもって、一歩ずつ研究を進めていきたいと考えています。