リサイクルと工学  ー循環型社会の形成に向けてー Medical Technology

人類が石炭や石油・天然ガスなどの化石燃料を多量に使うようになって、いまだ200年足らず。化石燃料の利用は二酸化炭素の排出や枯渇などさまざまな問題を抱えており、あと数十年で脱化石燃料の時代を迎えます。
このため、世界中で原子力発電所の建設ラッシュを迎え、“原子力ルネッサンス”と呼ばれる現代に、我が国の技術が活躍することになりました。
原子力は低炭素化時代の切り札でありながら我が国ではいまだ、“身近な存在”にはなっていません。
人々により安心感を与えるものになるには、さまざまな過去のトラブルに学び、地震や火災などの災害対策も含めた故障や事故の予兆を検知して安全を確保する仕組みを備えなくてはなりません。

工学の知恵を結集し、より人に優しい存在に

〉〉原子力は総合工学、未来を切り開く総合技術

 原子力発電所の配管は人間に例えるなら動脈・静脈です。金属疲労や減肉といった材料・流体・振動上の問題や地震に強くなるには、免震構造・制振システムに取り組む土木・建築の工学分野と原子炉工学、さらにはエレクトロニクスを網羅した「総合工学」としてのチームワークが必要です。我々は、低炭素化社会の基幹エネルギーとしての原子力に工学の知恵を結集し、多角的な角度から取り組んでいます。

〉〉地球環境に優しい基幹エネルギー

 原子力発電所に必要なのは、ヒューマンエラーを防ぎ、近隣住民への報告と対話を大切にする人に優しい仕組み作りです。このような安心感を元に、水素製造や電気自動車、冷暖房など人々が生きていく上で欠かせない、地球環境に優しいエネルギーの供給を推進しています。原子力の廃棄物は全量の保管と地層処分が可能です。太陽光や風力などの不安定な自然エネルギーと最も相性が良いのも基幹エネルギーである原子力なのです。

(コーディネーター 奈良林 直)