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第1回日中韓若手研究者ワークショップの開催

3カ国首脳との対面機会の様子。最左に山田准教授、右から6人目に佐野准教授。
▲3カ国首脳との対面機会の様子。最左に山田准教授、
右から6人目に佐野准教授。The 1st Korea-Japan-China Young Researchers workshop
by KOREA.NET with CC License Attribution
http://www.flickr.com/photos/koreanet/4654729202/
 2010年5月29、30日の両日に渡り、韓国・済州島において第1回日中韓若手研究者ワークショップ(主催:日本科学技術振興機構、韓国科学技術院、中国科学技術部)が開催されました。本ワークショップは、3カ国の若手研究者間で新しい発想を培いつつ研究交流を行う場を設けることを目的として開催されました。各国から40歳以下の若手研究者が20名程度ずつ派遣され、北海道大学からは大学院工学研究院環境フィールド工学部門の山田朋人准教授と、同じく大学院工学研究院環境創生工学部門の佐野大輔准教授の2名が参加しました。
 ワークショップのオープニングセレモニーでは、まず各国の政府代表者(日本からは中川正春文部科学副大臣)からの挨拶があり、その後各国研究機関代表者によるKeynote Speechが行われました。日本からは前東京大学総長で三菱総合研究所理事長の小宮山宏博士が講演され、博士が長年に渡って提案されてきた地球温暖化問題へ向けた抜本的対応策に関し、非常に魅力的なスピーチをして頂きました。
 オープニングセレモニーに続き、参加者が計4つのセッション(Green IT、Green Energy、Green City、及びGreen Environment)に分けられ、各セッションにおいて今後重点的に研究が進められるべき課題についての議論が行われました。山田准教授及び佐野准教授は共にGreen Environment Group(日本人7名、中国人6名、及び韓国人5名の計18名)に参加しました。セッションには北海道大学から参加した両名が普段携っている水問題に関する専門家の他、化学工学や大気などの専門家も参加しており、幅広い視点からの議論が可能となることが期待できる構成でした。
 日本側Chairmanの東北大学・馬奈木准教授始め、日本側参加者からの積極的な提案もあり、今後重点化されるべき課題は最終的に以下の4点にまとめられました。
すなわち
1) Transboundary pollution(越境汚染)
 汚染された大気・水の越境や外来生物種に関する国際的に統一された政策と規制の設定、及び問題解決のための技術開発。
2) Information share(情報共有)
 環境汚染及び感染症発生等の予測技術の確立を目的とした種々データ情報の共有のための法制度を含む技術的枠組みの構築。
3) Public awareness and participation(社会認識及び住民参加の増進)
 低炭素社会を実現するための、世界各国における過去と未来の環境問題に関する分析と発信。
4) Cooperation toward coping with climate change(気候変動問題への協調的取り組み)
 実データを用いた3カ国協調による気候変動予測モデルの開発。
 これらはGreen Environmentグループからの提言としてまとめられましたが、他3つのグループにおいても各視点からの提言が行われ、グループディスカッション後の全体会合において発表が行われました。
 さらに、これらの内容は本ワークショップにおける成果として、同日に済州島で行われていた日中韓首脳会談後、3カ国の首脳(鳩山由起夫日本国首相(当時)、温家宝中国首相、李明博韓国大統領)に報告する機会が得られました。参加者全員が待機している会場に3カ国の首脳が現れ、各国一人ずつの若手研究者代表(日本代表は東京大学・大森准教授)からの報告と、3首脳からの挨拶という形で対面は進み、非常に和やかな雰囲気の中で行われました。若手研究者からの提言の中には、汚染物質や感染症発生動向等の情報に関する国際的な情報共有の促進など、すぐに進捗を見ることは困難であると考えられるものも含まれていましたが、今回若手研究者からの提言という形で3カ国の首脳に報告できたことは意義深いものであると考えられます。
(環境創生工学部門 佐野 大輔)
(環境フィールド工学部門 山田 朋人)

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平成22年度「第1回原子力オープンスクール」を開催

講義の模様
▲講義の模様
 平成22年6月5日(土)に、平成22年度第1回原子力オープンスクールを、日本原子力学会北海道支部の主催、北海道大学工学部及び日本アイソトープ協会放射線取扱主任者部会北海道支部の共催、Women's Energy Network及び北海道電力の協力のもとで開催しました。
 わたしたちの生活で欠かせない電気は、火力や水力などのほか、ウランの核分裂反応を利用した原子力からも作られています。原子力発電はわが国の全発電量の30%以上を占め、また発電中は二酸化炭素が放出されないため、地球温暖化防止の観点から年々注目度があがってきています。一方、放射線は、ジャガイモの発芽防止など農業・工業のさまざまな分野で利用されており、また、放射線を発生する物質が人間の体内にも含まれているなど、実は身の回りにたくさん存在しています。
 本スクールでは電気や原子力発電の仕組み、原子や放射線利用に関して、各種展示物を用いて皆様に体験していただきました。また、同時にアトムスクールを開講し、市民生活と原子力エネルギーに関するクイズ大会への参加、放射線を可視化する機具(霧箱といいます)の製作及び身の回りの放射線観察体験をしていただきました。
 本スクールは1997年から毎年2回から3回、北海道大学の大学祭などに併せて開催しており、また来年以降も開催する予定でおります。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
(実行委員 准教授 山内 有二)

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「工学祭 ニコニコ・ボカロ鼎談(ていだん)※1」を開催

ニコニコ・ボカロ鼎談(左から司会の渡辺准教授、野尻氏、川上氏、伊藤氏)
▲ニコニコ・ボカロ鼎談
(左から司会の渡辺准教授、野尻氏、川上氏、伊藤氏)
工学部玄関前でのニコニコダンサーズイベント(200人以上のお客さんであふれかえる)
▲工学部玄関前でのニコニコダンサーズイベント
(200人以上のお客さんであふれかえる)
 工学祭は2009年に始まったお祭りで、6月の北大祭の時期に工学部で行われます。ロボットやロケット、人力飛行機などを実際に見て、触れるイベントが好評を博しています。その中のイベントの一つとして、実行委員の一人がTwitterで呼びかけ「ニコニコ・ボカロ鼎談」を開催いたしました。
 このトークイベントは、ドワンゴの川上量生会長、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長、SF作家の野尻抱介氏を招き、司会を当大学の渡辺保史准教授(CoSTEP)が担当し、行ったものです。ニコニコ動画や初音ミクなどWebコンテンツ配信やソフトウェア開発などを手がける業界のトップランナーが集まるとだけあって、会場のオープンホールは超満員。当日の様子は、インターネット生中継でも3万人弱が同時視聴する一大イベントとなりました。
 対談は大喜利形式で進められ、CGM(Consumer Generated Media、ユーザー発信型のメディア)をキーワードに10年後の社会について語り合われると共に、等身大初音ミク、政治の脱キャラクター化、新しい著作権の形などについても様々な議論が交わされました。
 また、このイベントに付随して、本研究院の永田晴紀教授と野尻氏の「宇宙」をテーマにした対談や、工学部玄関前でのニコニコダンサーズイベントなども開催され、6月5日の工学部は熱気に包まれていました。
(10月23日にはこの鼎談から生まれた「札幌CGM都市宣言※2」が大通公園で出される予定です。) (工学祭実行委員会 坪田 陽一 〈修士課程2年〉)

※1:ニコニコ動画とボーカロイドをもじり考案したトーク・イベント名で、ニコニコ動画を運営する(株)ドワンゴの川上会長と初音ミクで知られるボーカロイド(略称:ボカロ)を世に送りだしたクリプトン・フューチャー・メディア(株)の伊藤社長、そしてニコニコ動画の中で技術部として活躍中のSF作家・野尻氏の3者の対談(=鼎談)という意味から名付けたもの

※2:札幌市でユーザー発信型メディアを盛り上げそれを産業や観光につなげようという宣言