無火薬式小型ロケットで新市場を創出する
Creation of a new market by an explosive-free small rocket
知識欲を推進力に北海道発のロケット開発。 |
|
機械宇宙工学部門 |
|
[PROFILE] ◎研究分野/宇宙推進工学、燃焼工学 ◎研究テーマ/新形式ハイブリッドロケットの研究、パルスデトネーションエンジンに関する研究 ◎研究室ホームページ/http://mech-me.eng.hokudai.ac.jp/~spacesystem/
Harunori Nagata:Professor
Laboratory of Space Systems Division of Mechanical and Space Engineering ◎Research field:Space Propulsion Engineering,Combustion Engineering |
高い安全のハイブリッドロケット
プラスチックを一気に燃やす技術
火薬類も液体燃料も使わずに打ち上がるロケット。ハイブリッドロケットの最大の特徴は、高い安全性です。燃料にはポリ袋等にも使用されるポリエチレン、酸化剤には液体酸素を使用します。燃料と酸化剤を総称して推進剤といいますが、液体ロケットは液体推進剤(液体酸素や液体水素等)を、固体ロケットは固体推進剤(=火薬類)を使用します。固体燃料と液体酸化剤を使うので、固体ロケットと液体ロケットのハイブリッド、というわけです。新しい燃焼方式(Cascaded Multistage Impinging-jet)の頭文字を取って、CAMUI型ロケットと呼んでいます。
ハイブリッドロケットの開発で最も難しいのは、固体燃料を早く燃やすことです。地球の重力と競争しながら機体を加速しなければいけないロケットには、大きな推力を一気に放出することが求められます。現在、我々は推力が約500kgfのロケットを開発しています。50 kgくらいの軽いエンジンです。それでも、10 kg のポリエチレンの塊を15秒で燃やしきります。ガソリンをばら撒きながら走っていると揶揄されるスポーツカーでも、50kgのガソリンを燃やしきるのに1時間はかかるのですから、これがいかに尋常ならざる流量か理解いただけるでしょうか。
宇宙産業を小型化したい
町工場や中小企業にも好機
現在開発中のエンジンを2倍に大型化すれば、推力が約2トンのロケットが完成します。これを1段目、2段目に500kgfエンジン、3段目に90kgfエンジンの3段式ロケットを、マッハ2〜3で飛行する超音速機から空中発射すると、20kgくらいの超小型衛星を地球周回軌道に投入できます。H2ロケットは打上げ費用100億円弱で10トンの衛星を地球周回軌道に投入しますが、その1/500の世界です。2000万円で20kg。成功すれば、宇宙開発の様相は一変します。町工場で衛星やロケットが作られ、中小企業が衛星を使います。今まで誰も見たことが無い「小型宇宙産業」が目の前に現れるでしょう。
ハイブリッド ロケット |
永田先生は民間企業(株)植松電機(本社・北海道赤平市)の協力を得て、ハイブリッドロケット開発で公開特許を取得している。 |
- 無火薬式小型ロケットで
新市場を創出する
機械宇宙工学部門
宇宙環境システム工学研究室
教授 永田 晴紀 - 宇宙環境を利用した工学研究
-未来の有人宇宙活動を支える-
機械宇宙工学部門
宇宙環境応用工学研究室
教授 藤田 修、准教授 中村 祐二 - 月面でコンクリートを造る
-ルナコンクリートについて-
環境フィールド工学部門
環境機能マテリアル研究室
准教授 堀口 敬
- 地球外生命は存在するか?-先端光技術が拓く宇宙のミステリー-
応用物理学部門
フォトニクス研究室
教授 馬場 直志、助教授 村上 尚史 - 宇宙環境が引き起こすプラスティックの強度劣化を予測するために
機械宇宙工学部門
材料機能工学研究室
教授 中村 孝