私たちは地球の中から膨大な量の資源・エネルギーを採取し消費して、さまざまな製品を生み出し、飛行機や自動車を動かし、物や人を運び、光や熱を利用して、快適な生活を営んでいます。そして、不要になったものは廃棄物として大量に捨てます。この結果、多くの負荷が地球にもたらされ、環境の悪化と資源の枯渇が深刻化してきています。今後、私たちが持続可能な発展をしていくうえで、廃棄物中の有価物を素材・エネルギーとして再生・リサイクルするシステムを備えた、資源・エネルギーを最大限に活用する循環型社会を構築する必要があります。今回は、リサイクルにかかわる工学研究を紹介します。
〉〉地球システムに学ぶリサイクル技術
地球には、水や炭素、窒素などが気体、液体、固体と状態を変えながらあらゆる部分を循環し、物質やエネルギーを運搬するシステムが備わっています。この地球本来が持つ循環システムは、いろいろな生物が共生するうえで重要な役割を果たしています。このような地球システムに学び、少ない手間とエネルギーで資源(物質)を循環させるシステムを構築するために、先鋭的なリサイクル技術の開発が進められています。
〉〉循環型社会を実現する知の融合と創成
地球システムの特徴は多様性にあります。地球でさまざまな物質が循環する過程では、多くの物理現象や化学反応のほかに、生物も密接に関与した複雑な現象が起きています。循環型社会を形成するためには、多くの学問領域が融合し、しなやかで多様な技術やシステムを創成する必要があり、そのための意欲的な研究が展開されています。
(コーディネーター 恒川 昌美)
- リサイクルのための選別技術の開発
環境循環システム専攻
資源再生工学研究室
教授 恒川 昌美 - ごみ問題を総合的に理解し、評価する
環境循環システム専攻
廃棄物処分工学研究室
教授 松藤 敏彦 - 都市ゴミもリサイクル
環境循環システム専攻
資源システム工学研究室
教授 名和 豊春
- コンクリートをリサイクルする
環境創生工学専攻
維持管理システム工学研究室
准教授 佐藤 靖彦 - 使用済みナトリウム−硫黄二次電池の再利用
材料科学専攻
環境材料学研究室
准教授 上田 幹人