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学生コラム

石栗 航太郎 研究・活動紹介

より快適な鉄道車両を設計するために

人間機械システムデザイン専攻
ロボティクス・ダイナミクス研究室 
博士後期課程3年

石栗 航太郎 Kotaro Ishiguri

[PROFILE]
◎出身地/北海道名寄市 
◎趣味/写真撮影、週末のジョギング 
◎ひとこと/工学とは夢をかなえるための学問です。少し前の「できない」を「できる」へ変えるために一緒に勉強しませんか?


実験の様子
実験の様子
 鉄道車体の弾性振動という現象をご存じですか? 走行時に作用する力によって車体がしなやかに変形する振動のことです。車体はアルミニウム合金やステンレス鋼で製作されているため、実際の変形量は大きくありませんが車体の変形を伴う振動があるのです。この振動は、軽量化や構造の簡素化が進められた車体で顕著に現れ、人間が上下振動を敏感に感じる周波数帯に生じるため、乗り心地を悪化させる原因となっています。
 しかし、車体のどの部分の構造を変更すると、不快な振動を減らすことができるのかについての知見が、まだ十分とは言えません。詳細な有限要素法モデルにより計算を行い、振動状態を模擬することが可能ですが、数多くある設計変数を変化させてその有効性を確認する目的には、計算コストの点から不向きな方法であり、検証の障害となっています。

数値計算により得られた鉄道車体の固有振動モード
数値計算により得られた鉄道車体の固有振動モード
 そこで私は、鉄道車体の弾性振動を簡易的な解析モデルで表現することに取り組んでいます。作成している解析モデルは車体の主要構造に着目したモデルであり、車体のどの部分の構造が振動特性に及ぼす影響が大きいかを調べるには大変便利です。図は解析モデルから得られた固有振動モード(振動時の変形状態)を表しています。ここでは変形の様子がわかりやすいように車体を中央で切断して表現しています。床の振幅に比べて屋根の振幅が大きくなる振動モードの例で、実際の鉄道車体でも類似の振動モードが観測されています。この解析モデルを活用して、実際にどんな構造が不快な振動の低減に効果的であるかについても探っています。

藤井 隆志 インターンシップ報告

世界というフィールドに挑んだ7週間

物質化学専攻
界面電子化学研究室
修士課程2年

藤井 隆志 Takashi Fujii

[PROFILE]
◎出身地/北海道苫小牧市 
◎趣味/旅行 
◎ひとこと/Opportunity seldom knocks twice!(躊躇していては始まらない。チャンスがあったら、思い切って挑戦してみよう!)

 私は、エンジニアとして国際的な視野を身につけ、海外独自の技術や研究環境を学びたく、昨年の夏、IAESTE研修生として7週間ほど、チェコ共和国のプラハにあるInstitute of Chemical Technologyで海外インターンシップを行いました。研修では、電気化学の研究グループに加わり、熱酸化処理した鉄試料に形成する酸化皮膜の解析・評価や、インヒビター(腐食抑制物質)の試験評価を行いました。 研究室でドクターコースの学生と
研究室でドクターコースの学生と
研修を通して、英語という共通語を使い、説明をしたり、また受けたり、ディスカッションをできたことは貴重な体験となりました。英語力の足りなさ故に、微妙なュアンスが伝えられず、苦労したり、もどかしさを感じたりすることもありましたが、実験スキルや専門用語でカバーすることができたと思います。同時に将来、世界という舞台で活躍するためには、語学力の向上や、確固たる識やスキルを身につける必要があると強く感じました。
 また、プラハではヨーロッパを中心に多くのIAESTE研修生が大学や企業で研修を行っていたため、仕事後や休日は研修生同士、一緒に過ごしました。彼らと共に食事をし、酒を飲み、歌い、踊り、笑い、旅したことは忘れられない思い出となりました。この体験から、帰国後、北大国際インターンシップ学生委員会に加わり、外国人学生と日本人学生との交流行事の企画・運営を行っています。

IAESTE(The International Association for the Exchange of Students for the Technical Experienceの略称。理工農薬学系学生のための国際インターンシップを仲介している国際非政治団体。世界85カ国が加盟し、北大からも毎年、工学研究科の学生が数名、研修生として参加している。)

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