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大学の外からでも最先端の講義が聴ける!
─工学系教育研究センター eカリキュラム─

図1 eカリキュラムの例
図1 eカリキュラムの例
図2 講義収録風景
図2 講義収録風景
 大学院工学研究科、情報科学研究科には、普段は企業や研究機関などで働いている「社会人博士課程学生」がたくさんいます。このような社会人学生にも、通常の学生と同様、研究活動や論文作成のほかに専門分野に関連する講義の受講が義務づけられています。北大の社会人学生の多くは首都圏を始めとする本州に在住していますので、講義のために札幌へ通うには多大な時間、労力と費用がかかります。この問題を解決するために、工学系教育研究センター(CEED:Center for Engineering Education Development)では、コンピュータと通信回線によって、大学外や遠隔地でも大学院の講義を聴ける「eラーニング教育システム」の体制作りを進めています。これによって学生は「いつでも、どこからでも、何度でも」講義を聴くことができます。社会人学生だけでなく、一般学生が予習・復習に使うこともでき、大変便利で、教育効果が上がります。
 北大eカリキュラム(HUEC:Hokkaido University e-Curriculum)のコンテンツ(講義内容)は、実際の講義を収録したビデオだけでなく、これに、プレイリスト(部分選択機能)と学習支援ツールを加えています。学習者が、自分が必要とする部分だけを選択できるとともに、講義資料のダウンロードや用語検索、質問もでき、マイペースに、納得ゆくまで自己学習できる仕組みにしています(図1)。
 コンテンツは3種類あります。1つめは大学院授業科目で、これまでに30科目(1科目標準15講義、1講義90分)を整備しました。現在作成中の科目は、ICT最前線技術や原子力工学、エコプロセスや廃棄物処理などの持続可能社会構築に必要な基幹技術、光技術や量子物性、生命科学最前線など、北大ならではの幅広い領域にわたる最先端の専門講義群です。これらは速報版として一週間以内にテスト配信し、復習用に提供しており、好評です。その他工学倫理や科学技術英語などの実践的な科目もあります。
 2つめは大学院授業科目の理解に必要な基礎知識を得る補助教材で、一部学部の講義も含まれます。
 この2つの科目の学習にはIDが必要で、北大の学生、教職員が受講できます。
 3つめは一般社会人向けの公開講座などで、CEEDのホームページ(http://www.ceed.eng.hokudai.ac.jp/continuing/)で無料公開されています。インターネットのブロードバンド回線があれば、世界中どこからでも学習できます。
 北大eカリキュラムの内容がさらに充実し、学内外の学生の学習効果の促進に寄与するとともに、北大の最先端の研究成果を広く一般の方々も学習できるようになることを期待しています。
※「北海道大学大学院工学系教育研究センター(CEED)」とは
産学連携教育、国際性啓発教育、社会人教育の3つのプログラム開発部により、工学研究科および情報科学研究科の学生に向けて、次世代産業社会のリーダーとなれる人材を育成するプログラムを提供する組織。
●CEEDのホームページ http://www.ceed.eng.hokudai.ac.jp/

(CEED:工学系教育研究センター)

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「北大フロンティアプログラム」がスタート
~日本とアジアを結ぶ高度専門人材を育成します~

北大フロンティアプログラム概要
北大フロンティアプログラム概要
 工学研究科では、かねてより国際交流の強化に向けて努力を積み重ね、今春より国際交流室を立ち上げました。そのスタートに合わせた計画が、この「北大フロンティアプログラム」です。この計画は、経済産業省と文部科学省が実施する「アジア人財資金構想」の一環で、主としてアジア地域の優秀な留学生を国費留学生として日本に招致し、産業界と大学が連携して、従来の日本語教育や大学院での専門教育に加え、実践的専門教育(資源・エネルギー・環境・リサイクル、知財・倫理・危機管理、海外生産など6単位程度)、ビジネス日本語・日本ビジネス教育(200時間程度)、就職活動支援までの一貫した人材育成プログラムを実施することで、日本とアジアの架け橋となる優秀な人材を育成し、日本企業・日系企業で活躍してもらおうというものです。
 このようなプログラムは、現在日本の21の大学で実施されており、北大工学研究科でも今年の10月から2年半の計画で、修士・博士課程で学ぶ留学生を毎年度7名ずつ招致・育成する予定です。
(国際交流室)

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  平成20年度公開講座「廃棄物学特別講義
─循環型社会を創る─」を開催

公開講座の様子
公開講座の様子
 私たちの周りにはさまざまな環境問題がありますが、中でもごみ問題は最も身近なもののひとつです。ごみは私たちの生活を含めた社会から生み出されるため、技術だけではなく、リサイクルや処理の仕組み、それを効率的に運用するための経済的手段、排出者である市民とのかかわりなど、社会的な理解とアプローチが必要です。また、発生したのちに対策をとるのではなく、発生段階、さらには販売・製造段階からのライフサイクルにわたる総合的な取り組みが必要です。本講座は、北海道大学でごみ(廃棄物)にかかわる研究を行っている工学、農学、情報科学、法学、経済学、心理学など、専門の異なる教員が担当しています。この講義は、平成14年度に研究科横断的な大学院共通授業科目として始まり、3年前から社会への還元のため、公開講座として学外にも公開するようになりました。本年度は平成20年4月10日(木)から7月31日(木)の毎週木曜日、全15回にわたって講義が行われました。講義はすべてビデオ教材として収録されており、工学系教育研究センターにe-learning講座の受講を申請すると、遠隔地からも受講することができます。
(教務課)

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平成20年度公開講座
「エネルギー環境教育セミナー」を開催

公開講座の様子
公開講座の様子
 北海道洞爺湖サミットを受けて、小・中・高等学校の教員と一般市民を対象としたエネルギー環境教育セミナーが、平成20年7月27日(日)に開催され、34名が受講しました。今回は、児童・生徒にも地球温暖化・資源問題の情報を伝えてもらいたいと思い、小・中・高等学校の教員も対象としました。
 このセミナーの目的は、地球温暖化と資源獲得のリスク克服も含めて活力ある日本社会を維持するためには、原子力を含めた技術力の維持・発展が最も重要であるということを理解していただくことでした。
 当日は、最初に、日本が世界をリードするハイブリッドカー(プラグインタイプ)、電気自動車、太陽光発電等と原子力発電が共存関係にあることを最近の原油高騰の背景を踏まえて説明しました。その後、原子力発電所の安全性について、スイスの原子力地域熱供給の事例を交えて説明し、また、放射性廃棄物の処分について、地球環境の変遷の歴史を交えて説明しました。関心の高い放射線のリスクについては、医療分野での利用の観点から、チェルノブイリ型発電所の事故については、易しい原子炉物理を交えて解説しました。
(教務課)