現在、地球規模での環境問題や資源問題に どのように対処していくかが問われています。 工学はこれらの課題に対処するため、 さまざまな観点から新たな技術の研究を行っています。 なかでも、自然のサイクルを利用するバイオテクノロジーは 環境調和型の技術として注目されています。 また、資源循環型社会を構築するうえで、バイオマス廃棄物の 有用資源への変換技術の開発も注目されています。 今回は、工学研究科で行われているバイオテクノロジーの 新たな取り組みを紹介します。
〉〉環境調和の鍵を握る生物工学に叡智を結集
私たちは、科学技術の発達により大量生産、大量消費が可能になり、豊かな生活を得ることができました。ところが、その一方では、地球温暖化や廃棄物などの環境問題、化石資源の枯渇などの資源問題といった叡智を集めて早急に解決しなければならない課題に直面しています。
これらの問題を解決するためには、環境に負荷をかけない環境調和型の技術開発が重要になります。また、バイオマスの資源化技術の開発も環境・資源問題の軽減化に貢献すると期待されています。現在、このような技術開発に応用されるバイオテクノロジーが注目されています。
〉〉プラスチックや土木技術もバイオの時代へ
私たちは今後とも、自然環境を保持しながら、もろもろの生産活動も行っていかなくてはなりません。そのため、バイオテクノロジーの応用が大変有用になってきます。
例えば、バイオテクノロジーを利用すると、再生可能な生物資源を原料にして自然環境中で完全分解され、元の生物資源に還元されるバイオプラスチックを作ることができます。また、土壌中の微生物の生命活動を利用することにより、環境に配慮した土木技術の開発が可能になります。バイオマス廃棄物の石油化学関連物質あるいは肥料への変換にもバイオテクノロジーが応用されています。
(コーディネーター 上舘 民夫)
- 地球医療の切り札 ―“腐る”プラスチック ―
生物機能高分子専攻
バイオ分子工学研究室
教授 田口 精一 - 微小空間を利用する計測用バイオリアクターの開発
生物機能高分子専攻
生物計測化学研究室
教授 上舘 民夫 - 持続可能なサニテーションシステムの開発
環境創生工学専攻
サニテーション工学研究室
教授 船水 尚行
- 土壌微生物により固化するバイオグラウトの開発
環境フィールド工学専攻
地圏フィールド工学研究室
准教授 川崎 了 - 水を多く含むバイオマス廃棄物を石油化学関連物質へ
有機プロセス工学専攻
化学システム工学研究室
教授 増田 隆夫