物質・材料が未来を拓く

20世紀の科学技術の発展は、それを支える材料の開発と
機能の追求によってもたらされてきました。
それは21世紀になった今日でも変わりなく、
ひきつづき重要なテーマであることは、繰り返し強調されています。
我々の身の回りにあふれる物質は、
人に役立つ機能をもつことにより、材料として<開花>してきました。
材料を花とすると、物質とは開花する前の蕾にたとえることができるでしょう。
蕾を大事に育てて花を咲かすことも必要ですし、
品種改良によってより美しい花や新しい花を作ることも重要です。
本特集では、基礎から応用にまで広いスペクトルをもつ本学・工学研究院で
行われている物質・材料研究のなかで、特に形と機能に関連した研究を紹介します。

TALK LOUNGE

〉〉〉 物質・材料の形の多様性

遺伝子の多様性とは、種として持っている遺伝子の種類が多いことを意味しますが、この多様性があるために、種は環境が変化した場合にもその変化に適応して生存できる可能性が高いことになります。我々を取り巻く環境や社会状況がめまぐるしく変化するいま、求められる材料とその機能も時代とともに変化してきています。未来を拓く新しい機能をもった材料は、物質・材料の「形」の多様性の中から生まれることでしょう。

〉〉〉 新たな機能をもつ新材料を創る

 2011年ノーベル化学賞を受賞したShechtman教授が発見した準結晶は、常識を打ち破る原子の並びをもち、結晶とも非晶質とも異なる新しい機能が期待されています。柔らかいものは機能の宝庫。触媒表面の形を制御することで高い活性、選択性を得ることができますし、また、高分子と金属の組み合わせにより新材料を創ることもできます。「プラズマ」を利用するとナノスケールの微細加工までもが可能です。

(コーディネーター 高倉 洋礼)

環境や社会の呼び声にこたえる次代の新材料