卒業生コラム
ものづくりを支える「黒子」を目指して株式会社日立製作所 日立研究所材料研究センタ |
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[PROFILE]
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材料ってどう?
「工学」と聞くと何を思い浮かべますか?機械や建築のように、形が見えたり触ったりできるものは想像しやすいと思いますが、「材料」と答える人は多くないでしょう。私も大学に入る前はそうでした。周りを見渡せば、多種多様の材料に囲まれているのに、なかなかそれに気づくことはありません。材料は、空気と同じように「あって当たり前」の目立たない存在ですが、空気のように「無くてはならない」人々の生活を支える基盤なのです。また材料工学は、軽くて、強くて、暑さ寒さに強くて…等々、人々の思いつく限りの無理難題に応えてきたチャレンジングな領域です。
偶然の賜物
学部生の時に、企業の方を招いての講演会があり、発電用のガスタービン材料の話を聴講しました。そこで、発電用の高温材料は厳しい環境で使われ、材料工学の様々な知見が凝縮されていることに興味を持ちました。講義後、講師の方がとある研究室に入っていくのを見かけて、この研究室なら同じ研究が出来るのかな? と単純な誤解から研究室を選び、そのまま現在の研究へと至っています。その講師の方は学会等でお見かけしますが、今の私はその方のライバル企業の一員になっています。
大学院を修了した時、海外で研究する機会を得ました。就職もせずに、将来的にも不明な研究員をすることには不安もありました。さらに、言葉の分厚い壁がある海外では前途多難が目に見えていました。しかし、思いきった分、ここで書ききれないくらいの体験ができたと思いますし、不安定なりのわくわく感もありました。帰国後、大学でさらに研究員をしていた時、研究員を探していた現在の上司と偶然知り合いました。大きな回り道をしましたが、今は企業での職を得ています。偶然の出会いが積み重なって今があるのだな、そう改めて感じます。
企業研究者へ試行錯誤
私の研究分野である構造用材料は信頼性が要求され、実用化までに10年以上かかることも珍しくありません。日々の研究には派手さもありませんし、自分が研究している成果がいつ日の目を見るかわかりませんが、その日を夢見て研究を続けています。