計算科学のフロンティアを目指して -Frontier of Computational Science-

本年の6月20日、ドイツのハンブルグで開催された
ISC'11(国際スーパーコンピューティング会議2011)において、
日本の次世代スパコン「京」がピーク性能8.774ペタフロップスを
マークして、堂々世界第一位に輝きました。
久しぶりに日本の科学技術の高さを示したものとして
大きく報道されたことを覚えておられる人も多いでしょう。
現在の完成度は8割ですが、平成24年の年末(予定)には
10ぺタフロップスを超える性能を発揮することが期待されています。
このようなスーパーコンピュータ「京」を頂点として、
わが国には多くの分野で計算科学が発展しています。
本特集はその一翼を担う本学・工学研究院での
計算科学のアクティビティを紹介するものです。

TALK LOUNGE

〉〉〉 見えないものを観る

 「見えないものを観る」とは、日本の計算物性科学を担ってこられたある先生の言葉です。この言葉ほどスーパーコンピュータのパワーとこれを用いた計算科学への期待を表したものはないでしょう。「京」を取り巻くプロジェクトは、宇宙や原子核のような基礎物理学から、新物質・エネルギー創成、防災・減災に資する地球変動予測、生命科学・医療と創薬、次世代のものづくりまで、非常に多岐に渡っています。

〉〉〉 そして…作れないものを創る

 本特集では、様々な分野で活躍する計算科学者の夢を語ってもらいました。環境問題から防災に至る社会システムの創成、新しい自動車を創るための流体解析、新材料創製のためのシミュレーション、そして、私たちを取り巻く複雑・巨大なネットワークの解析と制御、全てが次世代を見据えた工学の舞台です。従来の工学手法では作れなかったものを実現するために、計算科学の進歩が見せる夢の一端を紹介します。

(コーディネーター 毛利 哲夫)

計算科学が工学に果たす新たな役割