自動車空力のための非定常乱流シミュレーション
Unsteady turbulence simulation for road vehicle aerodynamics
[PROFILE]
○研究分野/計算流体工学、乱流シミュレーション、空気力学
○研究テーマ/自動車の非定常空力シミュレーション、
空力車両運動連成解析
○研究室ホームページ
http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/fluid/index.html
Makoto Tsubokura : Associate Professor
Laboratory of Computational Fluid Mechanics
Division of Mechanical and Space Engineering
○Research field : Computational Fluid Dynamics, Turbulence Simulation,
Aerodynamics
○Research theme : Unsteady Aerodynamics Simulation for Road Vehicles,
Coupling Analysis of Vehicle Motion and Aerodynamics
○Laboratory HP :
http://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/fluid/index.html
高速での追い越しや突風、
自動車の非定常空力を解析
自動車が走行する際には、周りの空気の流れから力を受けます。その空気力の大小は、自動車の燃費に大きく影響することが知られています。さらにこの空気抵抗に加えて、高速走行時の突風や、追い越し、さらにはハンドル操作等による自動車自身の運動に伴い、時間的に大きく変動する空気力が作用することが知られています。自動車の高速走行時の安定性や安全性を確保するためには、このような非定常空気力の高精度予測が重要になります。しかし、自動車の空力設計は、主に風洞実験や定常流体シミュレーションによって進められるため、その限界が指摘されてきました。我々はこの問題に対して、非定常乱流シミュレーションの一種であるラージエディシミュレーションを適用し、産業界との強力な共同体制の下で自動車用次世代空力シミュレータとして開発を進めています。このシミュレータにより、車体周りの三次元非定常な渦構造を詳細に捉え、自動車に作用する空気力の物理的メカニズムを把握できるとともに、突風時に自動車がどのような運動挙動を示すのか、またその運動によって新たな空気力がどのように作用するのかが明らかとなります。図1はこのシミュレータにより捉えた、トラックが突風にあおられる際の周りの流れ構造と、車両に作用する回転モーメント力の時系列変化を示しています。
世界最速の次世代スパコン
「京」を使う新たな展開へ
非定常乱流シミュレーションの問題は、定常シミュレーションと比較して膨大な計算機資源が必要となるので、本研究室ではスーパーコンピュータを用いた解析を行っています。ただし、本物の自動車の複雑な形状を再現してその周りの流れの乱流解析を行うには、現在のスパコンの性能でも十分ではありません(図2)。したがって我々は現在、神戸で建設が進んでいる世界最速の次世代スパコン「京」へ、開発中のシミュレーション手法を展開するプロジェクトに取り組んでいます。
非定常空気力 | 通常の自動車走行の際にかかる空気抵抗を時間的に平均化した定常空力に対し、急な横風や姿勢変化、追い越し等による突発的な空力をさす。 |
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