糸入 祐也 博士1年 / Yuya ITOIRI D1 Apr.
バイオアノード・バイオカソードシステムを用いた酢酸合成プロセスの開発
現在、廃水処理手法として広く一般に用いられているものとして、活性汚泥法が挙げられる。この活性汚泥法では、好気的微生物により有機物をCO2に分解し、廃水を浄化している。この際に、曝気のために多くの電力が消費されていることが問題視されている。この電力は国内総消費電力の約0.7%にもなり、この低減は急務となっている。また一方で廃水中には多く のエネルギーが蓄えられていることも指摘されている。つまり現状の廃水処理手法は多くの電気エネルギーを消費しながら、潜在的に高い化学ポテンシャルを有する廃水を単にCO2に変換するという非常にエネルギーロスの大きい手法であると言えよう。近年では 廃水中の化学的エネルギーに着目した、エネルギー回収と廃水浄化を組み合わせることによる環境負荷を低減した処理プロセスの研究に目が向けられている。その代表例として微生物燃料電池(Microbial Fuel Cell)が挙げられる。MFCは電極を最終電子受容体として用いることが可能な電気生産細菌を用いて、廃水中有機物から電気エネルギーを回収できる。またこの手法では、嫌気的環境下で反応が進行するため、曝気電力が不要であり環境負荷の大幅な低減が見込まれる手法となっている。本研究ではMFCとMEC(Microbial ElectroSynthesis)を組み合わせた複合微生物プロセスの開発を目指す。
2023年3月 | クリタ賞 生物電気化学的CO2還元有価物(酢酸)生産プロセスの構築 日本水環境学会 |
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