特集 09
3億6000万km2の海の上の1mm3の世界 The world of 1㎣ on the 360 million ㎢ ocean

「見る」技術に向き合いながら「見る」とは何かを考える
環境フィールド工学専攻 沿岸海洋工学研究室 博士後期課程2年
齋藤 翔大
水面で気泡がはじけると…
打ち寄せて白く泡立つ波を観察すると、無数の細かい気泡と波飛沫によって構成されていることがわかります(図1)。この気泡や飛沫はわずか数µmから数mmのサイズ。この小さな飛沫と気泡が、地球を覆う海洋と大気の熱などの交換を促し、台風等を発達させるほどの巨大な影響を気象に与えています。海では、このようなマクロとミクロを行き来する繊細かつダイナミックな現象が常に起こっているのです。

見えない現象を「見る」
気泡が割れると、気泡内の空気が外に飛び出し周辺空気をかき乱し、飛び交う水滴は蒸発しながら周辺の空気を冷却します。ところが、これらのふるまいを私たちが直接目で見ることはできません。そこで私たちは空気の密度が変化している場所では光が屈折する現象を利用し、気泡の破裂に伴う空気の乱れを「見る」ことに成功しました(図2)。研究をしながら「見る」とは一体何なのか、そんな素朴な疑問と向き合う時間も私にとって大切なひとときです。
