特集・研究紹介

工学研究院・工学院の
先駆的な技術を発信します。

No.437 2025年04月号

工学を学ぼう

特集 02

環境問題の解決のために To solve the environmental problems

「それぞれの試験より回収した液体試料の化学元素濃度を分析して随時研究の効果を確認しています」

自然の摂理を利用した画期的な技術の開発

環境循環システム専攻 資源循環材料学研究室 2025年3月修士課程 修了
肝付 のの

[PROFILE]

出身高校
成蹊高等学校
研究分野
環境工学
研究テーマ
製鋼スラグを用いた風化促進によるネガティブエミッション

目標はカーボンニュートラル

近年、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする“カーボンニュートラル”を達成するために世界中で様々な取り組みが行われています。しかし工学的な技術開発による取り組みは多額な費用がかかる・広大な土地が必要などの理由から欧米と比べ、日本は遅れをとっているのが現状です。これらの課題を解決すべく環境工学を学んでいる我々は、日々奮闘して研究活動を行っています。

大気中のCO2を回収・固定する技術

私の所属する研究グループは“岩石の風化促進法”という技術に着目しています。これは、岩石の風化反応を利用して大気中のCO2を回収・固定する技術のことで、特に地球化学・地質分野と密接した技術です。私たちの身の回りで日々起きている自然の摂理を利用した技術なので比較的少ないコストで行えますし、何より、とてもワクワクしながら野外調査や研究生活を送っています。

図1 北海道鹿部町の休廃止鉱山にて岩石を詰めたバッグを河川に入れて風化反応をモニタリング Figure 1 : We installed bags filled with rocks into river at abandoned mine area in Shikabe town, Hokkaido.